14話
[8/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ものではなく、12桁の数字を3回に渡って入力しなければならないものだ。中身は月乃宮研究所に提出するための、仕事に関する書類である。鬼神の調整内容についてや問題点、果てには新武装の提案や実装について。書類とデータの両方を保管してある。鬼神のデータに関するものは鬼神本体を除けばここに入っているものが全て。鬼一のパソコンなどからは全て消去済みだ。万一の漏洩を防ぐための処置でもある。
そしてこれらを月乃宮研究所に送付しなければならないのだが、機密に関わる情報が多数入り込んでいるため情報漏洩を未然に防ぐために、IS学園に依頼して郵送してもらう必要があった。
そのため鬼一は本校舎1階総合事務受付に向かっていた。
―――これでようやく収入が入るな。学費と生活費くらいはどうにかなるかな。しっかし、疲れた。こういうのは得意じゃないんだろうな。
ぼんやりと疲れた頭で学園内を歩く。
そこで鬼一は気になるものを見つけたのか足を止める。
小柄な身体に、それに似つかわしくない大きなボストンバックを肩にかけた少女。長く艶やかな長髪を左右で分けて結んでいる。幼い顔つきではあるが活発さと明るさを感じさせた。
右手に握られているのは一枚の用紙。だが、粗雑に取り扱ってきたのかその用紙は様々な折り目が入っている。折り畳まずに適当にポケットか何かに突っ込んだようだ。
用紙を睨み視線を左右に走らせた後、少女はイラついたように用紙を上着のポケットに粗雑な扱いで押し込んだ。
鬼一はその様を見ていて考える。荷物が入っているだろうボストンバックに何かを探しているような様子。そこで鬼一は少女は道に迷っているのではないか? と結論を出す。
ゆっくりとした足取りで鬼一は少女に近寄る。
「どうかしましたか?」
鬼一の声に少女は気付き、勢い良く振り返った。
「何よ? ……男? あんたもしかして2人目の男性操縦者の月夜 鬼一かしら?」
苛立ちを含んだ声から疑問の声に変わり、そして最後は確認する声に変わる。
少女の顔を見て鬼一も思い出す。目の前にいる少女は中国代表候補生の鳳 鈴音であると。
「初めまして、こんばんは。仰る通り僕は世界で2人目の男性操縦者の月夜です。苗字でも名前でも好きな方で呼んでいただいて結構ですよ。貴女は中国代表候補生の鳳 鈴音さんで間違いなかったでしょうか?」
「ええ、そうよ。……なんで私のことを知っているのよ?」
肯定した後に疑問の声。
「IS操縦者なら各国の国家代表や代表候補生を知っておいて損は無いと思います。確か貴女は中国にいたと思いますが、IS学園に何か御用ですか?」
「確かにそうね。そっちも私のことを知っているなら早いわね。鳳 鈴音よ。それなら鬼一って呼ばせてもら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ