14話
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口にしたほうが早いなら全然アリだと思うが。なんでこれが初心者用の手段なんだろう? 戦いの手段には究極的には初心者も上級者もないと思う。重要なのはその手段が今の自分にとっての最善で、相手に通用するかどうかだ。
僕は思わず首を傾げてしまう。
どうやらセシリアさんにとってはよほど屈辱的だったのか声を荒げていた。
「……何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」
「じ、実戦では近接の間合いに入らせません! で……」
セシリアさんの言葉は途中で止まる。歯を食いしばって言葉を必死に飲み込んでいた。これ以上言葉を漏らせば自分の価値を貶めることに気づいたからだろう。
「ほう、織斑や月夜との大戦で初心者に簡単に懐を許していたように見えたが?」
小さくセシリアさんは深呼吸をついた。落ち着くように、頭を冷やすようにしてだ。
「……そうですわね。今後は間合いに踏み込ませないのはもちろんですが、近接戦も問題なく行えるように致します」
心を落ち着かせたセシリアさんは自分の問題点を受け入れ、それを修正すると公言した。
通信音が脳内に鳴る。どうやらセシリアさんからの個人間秘匿通信。
『お見苦しいところをお見せして申し訳ございません、鬼一さん』
その声はいつものセシリアさんのものだった。
『いえ、お気になさらずに』
しかし、この個人間秘匿通信も最初は使うイメージが分からなかった。『頭の右後ろで通話するイメージ』という漠然とした説明は文句を言われても仕方ないと思う。僕のイメージは一言で言うと携帯電話。
「ふむ、そろそろ時間だな。今日の授業はここまでだ。織斑、グラウンドを片付けておけよ」
……あの穴を埋めるのは容易じゃなさそうだな。直径10メートル以上はあるだろうし、深さもかなりのものだ。グラウンドの土って近くにはなかったような気がする。朝のトレーニングの時、近くに小屋を見つけたけどあそこはシャベルとかしかなかったと思う。
……待て、今はそこじゃない。このままだと僕もその作業に巻き込まれかねない。……よし。
『セシリアさん。授業も終わりましたし、さっさと撤収しましょう』
『そうですわね。鬼一さん、この後お時間よろしければお話しでもいかがです?』
その言葉に了承の意を伝え、ISを解除する。どうやらセシリアさんも巻き込まれるのはごめんらしい。解除した僕とセシリアさんは素早く撤収した。
一夏さん、申し訳ないですがガン逃げさせていただきます。
―――――――――
―――セシリアさんには申し訳ないことをしたな。
本日の授業が終了し、鬼一は重厚なアタッシュケースを持って外を歩いていた。時刻は夜8時。ケースは鍵で開けられる
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