14話
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以上、会うことも困難。僅か14歳の少年にそれは大きな負担のはず……。
「鬼一さん、もしかして眠いのでしょうか? さきほどからボンヤリとしていらっしゃいますが……」
わたくしの声で鬼一さんは半分ほど閉じていた瞼が開かれる。
「んー……、そうですね。ちょっと、眠いかもしれません」
そう言って鬼一さんはテーブルの上に置いてあるジュースに口を付けた。
「お仕事も一段落なさったんですよね? 無理をせずにお休みになられたらどうです?」
わたくしの言葉に鬼一さんは右手をヒラヒラと左右に振る。その挙動からもこの方の疲労が見えた。
「部屋に戻ったらそうさせていただきます。……今はこの時間を大切にしたいと思います」
最後は注意していないとよく聞き取れないほどの小さな声。そして普段の鬼一さんとは全く違うトーン。この時間を大切に……? 鬼一さんにとってこの時間は大切なもの? 別にこの会は鬼一さんが主役なわけでもないし、特別いる必要もないと思う。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑 一夏君に特別インタビューをしに来ました〜!」
ノンキな声が離れたところから聞こえる。どうやら織斑さんが捕まったらしい。今の鬼一さんを見つけないで欲しい。この人が今見せている表情は普段、わたくし以外には見せない顔なのだから。あの休憩スペースの会話とあの治療室での1件以来、この人はわたくしを頼ってくれている、とそう思いたい。もし頼ってくれているならそれに応えたい少しでも。
瞼が閉じてしまい、鬼一さんの雰囲気が大人しくなった。起こさないように縁のない眼鏡を外し傷つかないようにテーブルに置く。
「すいませ〜ん! セシリアちゃんと2人目の操縦者の月夜くんもコメント頂いてもいいですかー!」
そのノンキな声に本気で怒りそうになったが、一瞬で意識を覚醒させた鬼一さんがわたくしの鼻先に左手の人差し指をつきつけた。
「……怒っているんですか? セシリアさん?」
普段の声に安心し、怒りが四散する。治療室でわたくしの怒りを見せてから、この人はわたくしの感情の揺れを感じているような行動をする。
パタパタと小走りで近づいてくる新聞部の方の音を聞いて、鬼一さんはテーブルの上に置いてある眼鏡を特に気にせずに取り、残りのジュースを飲み干そうとする。
わたくしは立ち上がり新聞部の方と話す。落ち着くように小さく深呼吸をした。確か、クラス代表に関するコメントだったはず。
「……わたくしがクラス代表を辞退、それに関してなのですが―――」
「ああ、長そうだからいいや。写真だけちょうだい」
その言葉に拍子抜けする。そしてすぐに怒りが湧きそうになった。そんなことであの方の邪魔をしないで欲しい。
そし
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