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レインボークラウン
第三百四十二話

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              第三百四十二話  美樹の背
 美樹はビルガーとファルケンにだ、あらためてこう言った。
「私今で結構背あるでしょ」
「はい、普通の男の子よりもです」
「幾分高いですね」
「クラスの女の子でも一番」
「学年の中でもトップクラスですね」
「そうでしょ、これ以上高くなったら」
 成長して、というのだ。
「高くなり過ぎて。女の子にしてはね」
「ではこれから背が高くなり過ぎると」
「そのことを心配されていますか」
「そうなの、若しもよ」 
 美樹は二匹にさらに話した、自分の前にいる彼等に。
「一八〇位になったら」
「ご主人様のお父上位ですね」
「それだけ背が高くなればですか」
「確かに女性としては」
「かなり高いですね」
「一七〇位あっても」
 父の背丈より十センチ低くても、というのだ。
「問題よ」
「背が高い」
「そう言われますか」
「背が高いと変に目立たない?」
 整った眉目は曇ったままだった。
「そうならないかしら」
「そう言われますと」
「そうでしょうか」
「では今以上にですか」
「背はいらないというのですね」
「成長しても一六五位よ」
 それ位でいいというのだ。
「それ以上高いとね」
「もういい」
「困りますか」
「そうなの、胸はある程度欲しくて脚もすらりとなりたいけれど」
 それでもとだ、美樹は二匹にさらに話した。
「背はそこまで欲しくないわ」
「一六五以上は」
「成長されても」
「今の時点で可愛いって言われたことないのよ」 
 困った顔のままで言った言葉だ。
「これで成長してからもそうなったら」
「ですか、では」
「これからが心配ですか」
「ええ、大きくなり過ぎないといいわね」
 今度は溜息すら出した。
「今以上にね」
「そうですか」
「ではどうされますか」
「どうしようかっていっても身体のことはわからないから」
 自分の身体の成長のこと、それはというのだった。美樹の悩みはこれからのことだった。


第三百四十二話   完


                     2016・5・12
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