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第一章
気になって
室智秋は八条大学の学生だ。その外見はというと。
背はあまり高くはないが胸は大きくかなり派手な容姿である。
黒髪を波だたせて伸ばしてだ。強い光を放つ色気のある目にだ。はっきりした表情をしている。鼻はヨーロッパ系に近く顔立ちも何処かラテンのものだ。そしてだ。
服装もだ。網タイツにミニスカート、胸を大きくはだけさせた豹柄だ。かなり派手なファッションでもある。部活は軽音楽部だ。とにかく目立つ外見である。
その彼女がだ。ある日こんなことをだ。友人達に言うのだった。
今はカラオケボックスにいる。そこで飲み歌いつつの話だった。
「実はね」
「んっ、飲んでないの?」
「まだ飲み足りないの?」
「じゃあ飲みましょうよ」
「飲んでるわよ」
言いながらだ。手にしているテキーラを一気飲みする。そこにまたテキーラを注ぎ込む。
それを飲んでからだ。友人達に言うのだ。
「今ね」
「今?」
「今はって?」
「悩んでるのよ」
こう周囲に話す。
「付き合ってる彼氏のことでね」
「ああ、彼ね」
「赤坂君よね」
「後輩と付き合ってたわよね」
「一年の彼よね」
「そうよ、あの子とね」
まさにその彼と付き合っているとだ。智秋は言うのだった。
そのことを言ってだ。溜息を出した。そしてだ。
そのうえでだ。また言うのだった。
「けれど。私は三回生でね」
「彼は一回生」
「つまり歳の差?」
「それを気にしてるのね」
「年上の彼女よ」
智秋はそのあだっぽい顔を曇らせて述べる。
「二十一と十九よ」
「そんなの普通じゃない?」
「二つの差なんてね」
「そうそう、高校でもね」
「それ位普通でしょ」
「それは。男が年上の場合じゃない」
その場合だとだ。智秋はその顔をさらに曇らせて話す。
「けれど女の子が年上なのは」
「ちょっとない」
「だから困ってるの」
「悩んでるのね」
「そう、それでよ」
言いながらまたテキーラを飲む。酒の量は自然と増えている。
そしてだ。また言うのだった。
「どうしたものかしら」
「ううん、特に悩むこともないんじゃない?」
「そうそう、智秋以外にもそうしたカップルいるし」
「それで何でそんなに悩んでるのよ」
「あまりね」
「そうかしら」
友人達に言われてもだ。それでもだった。
智秋の顔は晴れない。そのうえで酒だけを飲むのだった。
彼女はとにかく今は悩んでいた。普段はラテン系の様な性格で明るく屈託がないが今はだ。彼との歳の差、もっと言えば年上であることに悩んでだ。
それはその彼、赤坂健、背は彼女より十センチ程高くだ。細長めの顔でだ。頬が痩せていて目が丸く大きい。茶色がかっ
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