第1話
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しかし、彼はそのどれも取らず就職し今に至っている。
「まぁ、幼馴染が代表に選ばれるなんて光栄な事だよなぁ……あれさえなければ」
そう呟き、暢介はため息をつく。
ため息の原因は修也が受けたある雑誌の取材の件であった。
『室谷選手が最高のパートナーだと思う選手はどなたでしょうか?』
恐らく、記者の方は新加入した外国人選手が。
或いは、フル代表で不動のレギュラーとなっている選手の名が出るかと思っていただろう。
ところが……
『それは……やはり、子供の頃から一緒にサッカーをしてた鷺島かなぁ……』
という修也の答えが、そのまま雑誌に書かれていた。
将来の代表の中心選手に 指名された訳だから嬉しかったのだが。
同時に恥ずかしさもあった訳だが……
この件は雑誌だけで終わらず。
テレビでの取材でも同じ様な質問が出され。
その都度、修也は暢介の名前を上げていた。
ある番組では、とあるタレントが『そんなプロにもいない選手上げなくてもいいじゃん』という発言をし。
それに修也が激怒、生放送だった為に編集が効かず、そのまま放送されていた。
「……まぁ、おめでとうメールでも送っておくかな」
そう言って暢介は携帯で修也へメールを送る。
内容は簡単なもので『代表おめでとう』というものだ。
暢介は彼が代表に選ばれる度に、同様の内容のメールを送る。
そして修也からの返信もまた『サンクス』という内容だ。
メールを送り終えた暢介は、欠伸をすると頭を振った。
「……そろそろ寝るかな」
そう言うと暢介は部屋の明かりを消しベッドに入る。
そのまま目を閉じ、眠りに落ちる。
「……」
見渡す限りの荒野の中を険しい表情を浮かべた女性が馬に乗っていた。
女性は先ほどまで、ある城の統治者の元へ行っていた。
その統治者は女性の母親に。
『あなたの娘の中で一番の才を持つという者を私の所に仕官させて頂けませんか』
という要請をしてきた訳だ。
女性は母親から。
『丁度いいじゃない。あなたも使えるべき主を探さないとね……まぁ、あいつにあなたを使いこなせるとは思わないけどね」
最後の部分は女性の耳には聞こえない小声だったが。
兎に角、女性はその統治者の元へ行った訳だが。
何度かの試験の後、言い渡された結果は不採用という内容だった訳だ。
「……どうしよう。僕、母上に何て言えばいいんだろ……」
女性は険しい表情のままため息をつく。
ちなみに、女性の母親は元より採用される訳が無いと思っている事を女
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