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忘れ形見の孫娘たち
10.グッバイひこざえもんプロジェクト進行中
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鈴谷は『おぢさんだいすき!!』と宣言し、店主を弄んでいた。罪な女子高生、鈴谷。

 それにしてもなぜ僕の交渉術ではダメなのか……そら確かに営業は無理っぽいって思って技術職に切り替えた過去のある僕だけれども……

「かずゆきは頼み方がダメなんだよきっと」
「いや、鈴谷の頼み方がヤバいんだよ。あの頼み方は鈴谷にしか出来ない」
「そお?」
「……あ、いや待て。一人いる」

――店主さん……お肉二百人前、準備してくれるとうれしいな……

 声を聞いたものを問答無用で骨抜きにする女性・鹿島さんの存在を忘れていた。僕も危うく軟体動物にされかかったあのボイスはある意味では破壊兵器だよ……。

 翌日、大淀さんが再び来訪し、二人で打ち合わせとなった。僕は大淀さんにプランの企画書を渡す。以前に大淀さんからもらったプレゼン資料と比べるとだいぶとっちらかった資料になってしまったが、概要を説明する分には問題はないだろう。

「和之さん。企画としては大丈夫ですが……」
「はいはい?」
「資金面は大丈夫ですか? けっこうな金額が計上されてますけど……」

 大淀さんは予算のページを見て、心配そうにそういう。……だってミリオン・イェンですもの……個人が払う分には大きい額ですからね……。

「任せてください! 僕の底力を甘く見ちゃいけませんよ!!」

 大丈夫だ。払えるだけの資金はあるんだ。ただ、すっからかんになってしまうだけの話で……。でもそんなことを悟られるわけには行かない。僕は腰に手をやり、冷や汗が垂れるおでこを必死に隠して、自身を奮い立たせるために盛大に強がった。

 これでバレてないはずだ……僕が今不安でいっぱいなのは伝わってないはずだ……と自分に言い聞かせていたら、以外と人の不安というものはたやすく伝播してしまうらしく、僕の大淀さんは困ったような笑顔を僕に向けた後……

「……分かりました。では告別式の装飾品に関しては、費用も含めて当鎮守府で準備します」

 と、僕にとってとてもありがたい提案をしてくれた。この提案を受けて僕の虚栄心は一瞬で崩れ去り、次の瞬間には大淀さんのこの提案が確実なものなのかどうかを大淀さんに確認してしまっていた。この場に鈴谷がいたらおもっくそパカにされていたところだ……

「ホントですか?!」
「ええ。加えてバーベキューの分の食材の半分も当鎮守府から出します。これで和之さんの負担もかなり減ると思いますけど、どうですか?」
「減ります! 金の大半はそこですから! マジで助かります!!」

 おお……大淀さんの背中から翼が見えるぞ……眩しい……天上から光が差している……そうか。彼女こそ天使……。僕の前に今、大天使オオヨドエルが降臨なさったのか。

「本当は食材のすべてを出せる余裕もある
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