第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
ディケイド 〜世界を旅する戦士たち〜
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風の腹に鳴る。
その音は「奴」が最後の一刀を背中からその手で蒔風に突き刺した音だ。
蒔風の体が崩れる。
士達は信じられなかった。
あれだけ最強だなんだと言い、そして実際に恐ろしいほどの実力を持った男が、「奴」の前には交戦するだけで手一杯なのだから。
その蒔風を乗り越え、「奴」が士達に歩み寄る。
「ここで旅は終わり。ああ、かわいそうに。門矢士は自分の世界を、その正体を知らずにここで死んで行ってしまう!!だが安心しろ。新たな世界において、しっかりとお前の世界に帰してやる。だから安心して」
「安心して・・・死ねって言うのか?」
士が「奴」を睨む。
そして「奴」の後ろに倒れる、蒔風を見る。
「世界をまわる旅は、危険が多くあったが、それなりに楽しかった。破壊者だと罵られても、それを庇う奴がいた。どんなに突っぱねても、ついてきやがる相棒がいた。ひょこひょこ出てきては邪魔ばっかしやがるコソ泥もいた」
そして両手を広げ、皆を表して言った。
「それがオレの、オレたちの旅だ!!その行き先はオレたちで決める。オレたちが自分の足で、力で、この想いで!進んでいった先に本当の自分の世界がある!!それがオレたちの力になる!!お前の偽りの世界、偽りの力は、必要ない!!」
だが「奴」は士を指さし、蔑む。
「その力とやらのカードも消えたじゃあないか。所詮他のライダーと築いた絆も、その程度だったというわけだ!!」
だがその言葉は全く士には痛手にならない。
「問題ないな」
「なに!?」
「力とは能力や、腕っ節じゃない。守ろうとする心、絶対に諦めない気持ち。それが力だ!!カードはそれを表す形態の一つにすぎない!!!」
その士の強き瞳の輝きに、「奴」が下がる。
そして気付いたように蒔風の襟首を掴み持ち上げ、叫んだ。
「だからと言って!!この戦力差は覆らない。人質、変身不可、重傷人。これだけのハンデを抱えて、勝てるのか?」
「勝て・・・るさ」
そう答えたのは「奴」に掴みあげられた蒔風だ。
「勝て・・るに決まってる。ここにいるのは・・・世界・・・さい、きょ・・・・だ」
「ムカつくんだよ・・・そういうお前のでかい態度がよお!!!」
蒔風の体を士達の方に投げつける。
士たちが蒔風をキャッチし、肩を貸して立たせた。
「泣き虫毛虫、いつも怯えて、自信の持てない奴が、張ったりで言うな!!!」
「蒔風は弱くない。ここで一番体を呈してオレたちを守ろうと戦った、世界を一人で回ってきた、最高の男だ!!」
「違う!!その男がその状態に簡単になれるのは、死を・・・・」
「そんなことはどうでもいい!!!いま重要なのはた
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