第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
ディケイド 〜悪の組織、略奪の命〜
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皆から離れ、着替えてから士は街に出て写真を撮っていた。
フィルター越しに見る世界。しかし・・・
「この世界も、オレに撮られたがってないみたいだな」
そうつぶやく。
現像しなくてもわかってしまうのだ。
木も、人も、建物も、空気ですらも彼の写真を捻じ曲げる。
だがそれでもシャッターを切る。
様々な景色が映る。
異なる世界を直視することなく。
否、できないのだ。
あらゆるライダーや怪人を凌駕する「破壊者」の力を持つ青年は、世界と向き合う強さを持っていなかった。
「士ぁ。見つけたぞ全く・・・・」
「蒔風か・・・」
そこに蒔風が声をかけてきた。
傍らに立ち、写真を撮る士の姿を眺めてから、訊いた。
「なあ、さっきの話だが、仲間なんかくだらないって、本当にそう思ってんのか?」
「ああ。そんなもののために戦い続けるなんてのは俺には理解できないね」
「そうか」
「そうだ。お前も、世界を守るために戦ってるんだろ?現にお前は今まで一人で回ってきたんだ」
「なるほどな・・・だったら貴様に南光太郎を否定する行為は許されない」
「なに?」
士がカメラから目を離し、蒔風を睨む。
「否定する、というのはその事柄をよく理解しているものだけに許されるものだ。そのことをよく知っている者ができることだ」
「わかっているなら否定しないんじゃないのか」
「お前大体もわかってねえな。よく知って、よく理解して、どこが悪いかを明確にさせてからが否定だろうが」
「だったらわからなくても嫌な場合はどうすればいいというんだ」
「簡単だ。拒否すればいい。だからお前は仲間のために戦わない、というのは勝手だが、そのまま南光太郎の意志を否定することは許さない」
「なるほどな・・・ならばなおのこと、オレの意志に口出しするな」
士が再びカメラを構えるが、それを蒔風が止める。
「そうはいかねえな。オレはお前のその考えを否定する」
「・・・・お前・・・オレにケンカ売ってんのか?」
「そんなつもりはないがな。やるならお兄さん、相手になっちゃうぜ」
ヴォオン!!
シュカッ!!
士がカードを構え、蒔風が「天」を抜こうと手を添える。
「オレの世界はいまだに見つからない。それなのに仲間だとか別の世界だとかのために戦えというのか」
「見つからないだけまだましだ。オレの帰るべき世界はもう無いと言っていいんだからな」
「?それはどういう・・・・」
士が蒔風に問いただそうとするが、そこに大きな声を出しながら夏海が駆けよってきた。
「こんなところで何やってるんですか二人とも!!士君も蒔風さんも、武器を下ろしてください!!」
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