第54話
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自治州にある保養地ミシェラムに贅をつくした巨大な邸宅を構えている。ルバーチェのマルコーニ会長とは旧知の仲であり、各種利権や密貿易、ミラ・ロンダリングなどにおいて密接な協力関係になると目されている。なお昨年、非公式ではあるが帝国宰相ギリアス・オズボーンと会談し、その権威を内外に改めて見せつけた。
「これがハルトマン議長……」
「なんつーか、政治家ってより帝国の大貴族って感じだな。しかし、あの”鉄血宰相”と会見したってのはマジなのか?」
ハルトマンの写真を見たロイドは呟き、ランディは疑問に思っている事を口にした。
「ええ、非公式ではあるけれど去年の春頃、オズボーン宰相がクロスベルを訪れたらしいの。おじいさまには会わずにハルトマン議長とだけ会談してすぐに帰国したらしいけど………一時期、各国の政界ではその話で持ちきりだったみたい。」
「そんな事があったのか………”鉄血宰相”……相当、有名な人みたいだけど。」
「何の為に訪れたのかちょっと気になりますね。」
ランディの疑問に答えたエリィの話を聞いたロイドは考え込み、ティオは静かな表情で呟いた。そしてロイド達は閲覧をやめた。
「―――なるほど。今まで漠然としてたところがかなり見えるようになったな。」
「ええ………冷酷かつ抜け目ないトップと歴戦の猟兵だった若頭の存在………そしてハルトマン議長との関係ね。」
「しかもその議長ってのはあの”鉄血宰相”とも何かしらの関係があるんだろ?確かにクロスベルの警察が全く手を出せないのも納得だぜ。」
「………そうだな………」
閲覧を終えたロイド達が相談しているとティオが何かに気付いた。
「………待ってください。渡された記録結晶の中に隠されたデータがありました。」
「隠されたデータ………?」
「って、隠したってんならあのガキが隠したんだろう?」
ティオが呟いた言葉を聞いたロイドは首を傾げ、ランディは目を細めて言った。
「ええ、どうやらわたしが気付くか試そうとしたらしいですね。………後でおしおきをしないと。」
「それはともかく………その隠されたデータも見れるか?」
「ええ、お茶のこさいさいです。」
そしてティオが端末を操作すると項目に”黒の競売会”が追加された。
「!!これは………」
「”黒の競売会”………!?」
「エステルちゃんたちが言ってた例のイベントってやつか。ハハ、あのガキ、洒落たマネをすんじゃねーか。」
項目を見たロイドとエリィは目を見開き、ランディは呟いた後苦笑した。
「………どうやら本当に存在するイベントのようですね。それもルバーチェ絡みですか。」
「ああ………怪しいとは思ってたけど。よし―
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