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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第51話
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いう事か………」

「下手をすればルバーチェナンバー2の地位を部下達から狙われているかもしれないわね。」

「でも、例の会長さんの方はいったい何をしているんですか?」

ロイドの疑問に対するグレイスの話を聞いた仲間達がそれぞれ考え込んでいる中ある事が気になったティオは別の質問をした。



「聞いた話によると”競売会”での失態を取り戻そうと必死になっているみたいね。機嫌を損ねたハルトマン議長へのご機嫌取りはもちろんだけど………新たに自治州内の有力者を取り込もうとしているらしいわ。」

「新たな有力者……どのあたりなんでしょうか?」

「端的に言うと共和国派議員ね。それに警備司令あたりとも何度か会合をしているって噂よ。」

「なるほど………”黒月”の政治的な影響を抑えるのが目的でしょうか。」

「警備隊の司令を取り込んだのは武器の密輸を強化するためか………?」

「ま、そんな所だろうな。あと、あの阿呆司令はハルトマン議長の腰巾着って話だ。そっちに働きかけることで間接的に議長のご機嫌取りもしようとしてんのかもしれねぇ。」

「ええ、あたしもそう睨んでいるわ。いや〜、やっぱ君達と話してると考えがまとまるわねぇ!うんうん!情報交換した甲斐があったわ!」

「はは……正直こちらも助かりました。でも、こうして整理してみるとやっぱり違和感を感じますね……」

笑顔を浮かべたグレイスの言葉を聞いたロイドは苦笑しながら頷いた後、考え込みながら呟いた。



「違和感?」

「………どういう事?」

ロイドの言葉を聞いたエリィは質問するグレイスと共にロイドを見つめた。

「一つ一つの行動については納得いく理由があるようですが………どれも場当たり的だし、組織として全く連携が取れていない気がします。俺がルバーチェに感じていたのは悪い意味での、大都市ならではの”スマートさ”だったんですが………それが殆んど感じられないんです。」

「なるほど……」

「ふむ………言われてみればそうね。」

「クロスベルという(こう)の成る木から甘い汁を吸うためのシステム……それを確立した組織にしては確かに場当たり的かもしれませんね。」

「そうねぇ。とても今まで巧妙にクロスベルの裏社会を牛耳っていた組織とは思えないくらいお粗末なやり方よね。」

「何か、そのあたりを狂わせるような俺達の知らない”要素”がある………そういう事かよ?」

ロイドの話を聞いたエリィとグレイスは頷き、ティオの推測にレンは頷き、ランディは考え込んだ後ロイドに尋ねた。



「ああ……あくまでカンだけどね。”黒月”と”Ms.L”の別荘を襲った襲撃者の戦闘力も不自然に高かったみたいだし………ガルシアの奇妙な態度にしてもそれ
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