13話 楯無戦
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何処かに勝ちの目は存在する!
鍔競り合い。
夜叉と蒼流旋が互いの障害を破壊せんと火花を散らしながら拮抗。だが夜叉と鬼神が少しずつ押し込まれていく。
2人の視線が一瞬だけ交差。
カシャン、と軽い音を鳴らしてレール砲が霧纏の淑女を捉える。いや、正確には銃口だけが向けられた状態。鬼一には撃つ意志は微塵もない。今、ここで必要なのは『楯無の意識を僅かでも別の何かに向けるということ』だ。
突然の変化に対して思考する時間がない状況に対しての対応こそが、その人間の本質が見え隠れしやすい。それはたとえ1つの頂点に立つ人間でも例外ではない。
蒼流旋に込められていた力が僅かに弱まる。
―――レール砲による射撃……! 離脱が正解かしら?
―――まだ笑っているけど、この対応こそが貴女の本質の一端だ……!
鬼火の出力を更に上げる。力技ではあるが多少強引に楯無を弾き飛ばした。
―――小さくはあるけど『後退』を選択させることが出来た。ナノマシンを活かした『防御』という選択もあったのに。これは間違いなく大きな前進。
そして、この情報だけで終わらせるつもりはない。貴重なチャンスを見逃すつもりは毛頭ない!
苦境を脱出したことで身体に僅かながらの活力が舞い戻る。それを利用して躊躇いなく瞬時加速。ノータイムで行動した分、相手にも思考する時間を与えない。
―――もらった……!
体勢を僅かに崩れた楯無に空気を切り裂きながら接近。限りなく詰みに近い5分から僅かとはいえ作り上げた優位。ここから何らかの形で光明を見い出すことが出来なければ勝利は見えない。局地的な勝利ではなく試合全体で見てもだ。
対応出来ないはずの一撃。
「―――っ!?」
理解した時には既に蒼流旋で左肩を突かれて吹き飛ばされていた。
地面に落下していく中で冷静に今の出来事を確認する。
―――……あの人は完全にこちらのことを見ていなかった……。でも、こっちの位置が分かったように蒼流旋を『置いていた』。僕があのタイミングで仕掛けるということを読んだ上で。……でも、なんで読まれた?
体勢を崩し一時的に楯無の視界からは鬼一の姿は消えている。最速で仕掛けた以上、ISのセンサーやレーダーで確認する猶予も与えなかった。しかし現実は鬼一の攻撃を読みきったように、蒼流旋を鬼一の進路に置いた。
空中で回転して地面に着地。体勢を立て直してこちらの様子を伺っている楯無から距離を取る。楯無は逆襲からの追撃に移行していなかったのだ。
―――鬼一くんは本質的には『攻め』が色濃く反映された立ち回り。セシリアちゃんの試合の時は攻めるために守り、一夏くんの時は攻めるために相手の攻撃力を削った。この子の厄介な所は攻めるポイ
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