13話 楯無戦
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の状況が好ましいものではないのはそれだけ鬼一の苦境を物語っていた。
―――……慌てるな。まだ焦る状況じゃない。機動性は鬼神の方が優れているんだ。判断速度や反応だって先輩に負けているとは思えない。なら基本戦術は近接戦でいい。でも逆襲の危険性はある。それなら少しだけ変化をつけて……!
中距離射撃戦の中で鬼一は少しずつ前に進む。先ほどの強襲に比べて随分とテンポが遅い。
―――……さっきに比べてちょっぴり遅くなった? ……どうするつもり?
―――このスロースピードに加えてもう一個変化を足して虚をつく!
実弾から切り替えられ再度防御弾頭に切り替えられ、鬼一は自分と楯無の間に発射。その中間地点で爆破。
防御弾頭は一般的に敵の射撃を無力化するために使われる。現に鬼一はセシリア戦やこの試合でも蒼流旋のガトリングを防ぐために使っていた。防御弾頭は起爆時に青白い球体が展開され、それに触れた射撃による攻撃は『打ち消す』なり『軌道を曲げる』ことで対応される。
この際、その特性は重要ではない。鬼一が目をつけたのはその『青白い球体』だ。展開されている間はその『向こう側』が見えないのだ。つまり―――
一時的に相手の姿が『見えなくなる』。
視界一面に展開された青白い球体で楯無は鬼一の姿を見失う。だが、ISのレーダーでその姿を追いかけようとした。そのため僅かではあったが意識がそちらに逸れる。
「!」
青白い球体群の下を迂回して鬼一が浮上。
―――その時出せる最高速度で球体の下に回り込んで、姿を見せてからは瞬時加速で一気にゼロ距離に持ち込む気ね!
―――……これなら身体能力差は埋めれる!
鬼神は瞬時加速で最高速度に達している。その速度分を夜叉の一撃に載せることが出来る。それに対して楯無はほぼ静止状態。身体能力差を埋めたのは当然、僅かながら鬼一の一撃の方が楯無の一撃の威力を上回る。
―――もらった! ……なに!?
鬼一の策は楯無の守備を上回った。回避も迎撃も間違いなく間に合わないタイミング。故に防御するしか方法はなかった。そして、鬼一はその防御を突破できるはずだった。
だが、現実では突破することは出来ていない。要は鬼神の夜叉が霧纏の淑女の装甲で止められていたのだ。しかも、相応の衝撃があるはずなのに楯無を弾き飛ばせていない。この現状から鬼一は1つの答えを導く。
―――余計な行動は一切せずに、ナノマシンをフル稼働させて一瞬だけ防御力を最大まで引き上げたのか!
最大の一撃を叩き込んだにも関わらず霧纏の淑女の絶対防御が発動した様子はなかった。鬼一はそこから楯無が今展開しているナノマシンを全て防御に回したことを悟る。
しかし、言い換えれば今の霧纏の淑女の攻撃
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