13話 楯無戦
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痛みが伴うことなら尚更。
僅かに口角が上がった楯無は蒼流旋で鬼一を迎撃。
蒼流旋と夜叉がぶつかりあい、それぞれの獲物を通して衝撃が全身を駆け巡る。
「っ!?」
その衝撃に鬼一は後方に押し戻される。IS同士のスペック差ではなく、純粋に操縦者同士のパワー差で競り負けたのだ。
―――ダメだ。5分の状態からの力勝負じゃほとんど勝ち目がない! 逆襲が待ってる。……どうする? 先に追い込まれてしまえば詰み。表面上は5分でも実質は限りなく詰みに近い。なんとかして少しでもいいから優位を作らなきゃいけない。けど……!
楯無から距離を取らざるを得なかったが先ほどと違って遠距離でも近距離でもなくその中間に位置し、楯無がどんな動きをしてもすぐに対応できるように体勢を作る。
―――優位を作るためには最低でもこっちが『先に追い込まれてはいけない』ようにしないとダメだ。攻めることは出来なくなるけど、今はこっちにも一定の安全が必要。だったら……!
ガトリングと羅刹による射撃戦。鬼一は要所で楯無の足を止めるために、射撃の中にレール砲を混ぜ合わせることで楯無の行動をある程度制限させる。
―――この人は基本的にディフェンシブな立ち回り。その中で自分が攻める瞬間を伺う。意識分配としては受け3・攻め1が基本。それなら、攻め込ませないように適度に足止めすれば5分に近い状態をキープできる。
霧纏の淑女の弱点、とまではいかないが攻撃にしろ防御にしろナノマシンを絡めなければどうしても単調になりやすい。そして、楯無が積極的にナノマシンという手札を晒さない以上試合は単調なものになる。言い方を変えれば主導権を取ることも、取られる可能性が減少するのだ。
―――こうすれば、なんとか自分にも余裕が生まれる。武装も手段も限定されるけど状況を『固定』させることは可能。だけど……問題はここから……!
展望のない短期的な行動。鬼一の中には楯無を攻略するビジョンが何一つ立てられていない。
蒼流旋のガトリングの数発が装甲を削る。削られる中でも鬼一はの射撃の手は緩めない。ここで緩めてしまえば間違いなく攻められてしまうからだ。
―――近接戦は逆襲の可能性が高い。かといって遠距離戦じゃジリジリと押し込まれてしまうし、こっちの技量じゃ射撃を通し続けることはできない。先輩の攻撃は一定の破壊力があるくせに安定感もあるからミスも期待出来ない。
完全な手詰まり。このまま膠着状態が続けば敗北するのは鬼一なのは間違いなかった。集中力、精神力の勝負なら負けないだろうが膠着状態で第一に問われるのは体力、身体の差なのだ。身体能力で劣る鬼一にとってはこの状態が長引くのは決して喜ばしいものではない。
自分で望んで作った状況であるにも関わらず、そ
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