13話 楯無戦
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くるけど、この攻防に展望があるなら決して無駄じゃない! 駆け引きが出来るなら僕は、例え先輩が相手でも負ける気はしない!
まだやれる。もっと、もっともっと―――!
ガクン、と崩れる鬼神。
音を立てて膝を地面についた。
鬼一は信じられないという表情でエネルギー残量を確認する。
そこには無情なまでに鬼一の敗北を告げている数字があった。
―――エネルギー残量 0―――
肩で呼吸を繰り返したまま鬼一は顔を伏せる。その表情は楯無にも見えなかった。
―――終盤、ようやく対策が出来てきて、自分の方向性が見えてきたのにそれを進化させることができないままの完敗。一切の言い訳の出来ない内容、だな……。
試合が終わったことを理解した楯無は自分の額に僅かに浮かんだ汗を右手で拭う。息が上がっていないことのは流石としか言えない。同時に試合を振り返る。
―――私は自分の隙を自覚してそれを逆手に取ろうとしたけど、この子は私の意識外の行動を行うことで新たな隙を作って攻撃しようとした。……それを理解できる人間はほとんどいないでしょうね。
一見、無意味に見えるような行動が大なり小なり次に繋がっているのも含めて、とても初心者とは思えない。
楯無も地面にゆっくりと降りる。
―――……IS戦は最終的に行き着く先は、相手のシールドエネルギーをどれだけ早く自分のシールドエネルギーが無くなる前に無くすことが出来るか? というところに尽きるわ。
そういう意味では彼はまだまだ弱い。フィジカル、テクニック、タクティクス、経験、IS戦に必要な要素が全然足りていないから。でも―――。
鬼神は解除され、楯無も霧纏の淑女を解除する。
―――足りていない要素がこれだけあり、私も切り札を温存していたとは言っても、私を相手にチャンスを作り上げたという事実は間違いなく彼の強さの一端を如実に表していることには間違いないわ。それに―――。
……少なくとも私の予想は超えられたわね。本当ならナノマシンも使うことも無いと思っていたけど、吐かされたのは事実。しかも、この子は実戦の中で進化してみせた。
そこまで考えて楯無はふと、自分の妹を思い出した。
昔、自分に追いつくために戦っていた妹の姿と鬼一の姿が少しだけ重なって見えた。
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