13話 楯無戦
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ている。しかし、現実はまだ戦いは続いていた。
つまり、鬼一は実戦の中で楯無の罠に対応しているのだ。成長と言い換えてもいい。
―――次は一瞬だけ距離を離して静止、ここで距離を詰めると見せかけてプラスアルファを足して意外性を加える!
静止すると同時にミサイルポッドを解放し、ありったけの実弾ミサイルが射出された。
楯無はこのミサイルの嵐に対して蒼流旋のガトリング、そして落とし損ねたミサイルは切り払って迎撃していく。
鬼一はその姿を確認すると最高速度で楯無に肉薄。接近していく中でレール砲で楯無に狙撃。
ミサイルを迎撃する最中、突然のレール砲による狙撃も回避していく楯無。迎撃と回避をこなしていく姿はまるで舞踏のよう。
ミサイルの対応が終了するのと鬼一が楯無に斬りかかるタイミングはほぼ同じであった。
―――……ここだっ!
―――させないわ!
楯無は自分の時間が一瞬凍りついたように感じた。
フルスピードで駆け抜けてきた鬼一が、自身の蒼流旋迎撃範囲の1歩手前で急ブレーキをかけて静止したからだ。
すかさず火を吹くレール砲。
「―――っ!?」
この試合で始めて楯無の表情が笑顔ではなくなった。なんとか直撃をさけることは出来た。自分のリズムを外されてしまっても、対応できたのは身体が咄嗟に危険信号を感じ取った他にないからだ。
だが、次も対応できる保証はない。
同時に鬼一は自分の考えが正しいことを確信する。
―――これだ。これでいいんだ! 鬼神の機動性と情報を活かして相手を揺さぶって、最後は攻撃手段の豊富さを活かして防御と回避を強制させればいい!
自分自身の戦い方に疑問を抱き続けて、戦いが始まるごとにその都度ベストだと考えられる戦略を組んできた鬼一。つまり、長期的な視線ではなく、悪い言い方をすれば場当たり的な戦い方をしてきたのだ。
そんな戦い方をしてその場で勝つことは出来ても、遠い未来まで勝ち続けることは困難だということは鬼一は身体で理解している。
だけど、実戦の中で見つけた小さな光。それが鬼一のIS操縦者としての方向性、戦い方が見えてきたのだ。
―――絶対に引くな! 身体能力や経験で押されることになってもだ! 機動の変化と情報で自分の優位を形にする。好機は少ないけど、今みたいな展開は必ずくる。今まで先輩に合わせる形だったけど、やっと、やっと自分が主導できるようになった!
たかが1本、されど1本なのである。ほとんどの人間ならば、現役国家代表から1本チャンスを取ったことに喜ぶだろうが鬼一に関してはそれはない。鬼一はあくまでもその結果から次を活かすことだけを考える。
―――……先輩がリスクを上げて攻めてくる以上はこっちの対応は限られて
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