13話 楯無戦
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分考えられる。
これがもし鬼一のような操縦者が相手でなければ楯無は力押しを継続すればそれでよかった。しかし、今は力押しを続行しようとすれば先程よりも大きなリスクを負わされる可能性がある。
この微妙な距離に対してもリスクは存在するが、総合的に、全体的な展開を考えるとこちらの方が不確定要素は潰しが効くと楯無は判断。
楯無にリスクがあるように鬼一にもリスクはあった。ある意味では楯無よりも大きいリスクが口を開けて待っている。
鬼一はここでリスクを上げなければ勝負にすらならなかった。逆襲の危険性やミスが増える可能性もある。だが、この戦術なら勝算はあると踏んだ。いや、ここにしか勝算はなかった。
両者は距離を維持したまま互いの様子を観察。近づこうとすれば互いの武器で牽制し、離れようとすれば距離を詰める展開。
神経を削るような読み合い。
数多くの戦いの中で盤をひっくり返し続けてきた鬼一は、その天才的な集中力で自身が踏み込むポイントを観察する。
それに対し楯無は、過去のIS戦、数多くの謀略や死闘を退けてきた不断の集中力で自身の大切なものを守り続けた女性。集中力の質においては鬼一と優劣がつけれない。
となると、この読み合いで勝敗を分けるのは一体何か?
それは集中力と支える経験値と心理的な余裕の2つ。
『戦い』において鬼一と楯無の経験値は鬼一の方が上。しかし、『IS戦』においては楯無に軍配が上がる。その『戦い』の経験が『IS戦』で活かされているのは間違いなかったが、『IS戦』のプロである楯無には到底及ばない。必然的に集中力の質を維持する時間は楯無の長く、それに加えて2回の絶対防御分のエネルギー差が鬼一の集中力に圧力をかける。
余裕がある分、楯無の方が行動に余裕があり、鬼一には余裕がない。言い換えれば追い詰められていると言ってもよかった。
そんな中でも鬼一は粘り強く楯無に挑んでいく。
微妙な距離の中で存在するプレッシャーに耐えながら要所要所で楯無の意識を外すように、逆襲を恐れずに積極的に攻め込んでいく。これは楯無に攻め込ませない意図も多分に含まれていた。
「……ぐぅ!?」
しかし、一定以上のリスクを背負って攻め込む以上、どうしてもミスから逃れることは出来ない。そして僅かにでも攻めが甘ければ楯無の鉄壁の守備力からの逆襲が待っている。その一撃は鬼一を徐々に追い詰めていく。
時折、鬼一にもチャンスを作り上げることが出来たが、『隙』を自覚している楯無を咎めることまで追い詰めることは出来なかった。
だが、鬼一の戦術そのものは決して間違っていない。それは楯無の守備力を相手にチャンスを作れていることがその証明だろう。
しかし、徐々に追い詰められていく鬼一を楯無は更に追
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