13話 楯無戦
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アリーナ内に飛び立った楯無が相対したのは既に戦闘モードに入っていた鬼一の姿だった。観客席は休日だからか無人であった。
闘志や敵意、殺意を周りに撒き散らすような雑魚なのではなく、それらを自然と1つに融合させ、勝利という明確な意志に昇華させていた。戦いにおいて余計な感情は全て排除出来るのも一流の証。そう言う意味では鬼一は間違いなく一流と楯無は感じた。
静電気のような痛みが楯無の肌を走る。
―――……模擬戦、って言っていたけど面白いじゃない。現役の国家代表って聞くと萎縮する人間する人間がほとんどだけど、あの子、そういうのは微塵もなさそうね。
鬼一がアリーナの地面に降りていたので楯無も鬼一に合わせて降下。
鬼一の前に降り立った楯無が鬼一に話しかける。
「現役の国家代表を相手にする気持ちってどんな感じ?」
ちょっとした意地の悪い問いかけ。
茶目っ気のある笑顔と共に楯無に対して、鬼一は自然体でそれに答えた。至極当然のことを当たり前のように。
「……僕が今も昔も戦うのは立場や肩書きではなく、人間です。IS学園最強、現役ロシア国家代表、誤解を恐れずに、究極的なことを言えばそれはオマケみたいな感じですね。重要なのはそこに辿りついた『更識 楯無』という人間と戦えることです。僕が今、考えているのは『更識 楯無』に向き合って勝てるかどうかだけです」
鬼一の双眸に映る楯無。その楯無の顔が先ほどの茶目っ気のある表情ではなく、力強い、もしくは鬼一を挑発するような笑顔に染まった。
「やれるもんならやってみなさい」
楯無のその言葉に鬼一も笑顔を浮かべる。楯無のそれとは違って冷たい炎を連想させるような笑みではあったが。
「……最前線で身体を張る、貼り続けていられる人間には全員1つの共通点があります」
「それは?」
「……簡単ですよ。それは相手の予想を超えることです」
―――――――――
試合が始まり、先手を取ろうとして自分から仕掛けた鬼一はあっさりと楯無の迎撃に阻まれた。試合時間は5分が経過し、ここまで得た情報を鬼一は解析する。
―――……予想以上に辛い。分かっていたことだけど、この人のレベルの高さ、特に堅牢と言い換えてもいい守備力の高さは明らか。向こうが主導権を握っている展開とはいえ、現状、攻略の糸口が何一つ見えてこない……。どうする?
IS、霧纒の淑女の大きな特徴であるナノマシンで構成された水のヴェールでISそのものを覆うことにより、防御力を向上させていることもそうだがそれはあくまでも表面的な話。
無論、脅威と言ってもいいほどの堅牢さだがそれよりも楯無本人の技量の高さ、鬼一との地力の差が今の苦境を生み出しているのは間違いなかった。
鬼一はまだ駆
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