第48話
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「マクダエル市長もお出になったみたいだな…………そういえば、今回の新作に全面的に協力しているんだっけ?」
次々と招待客たちが来る様子を控え室へと続く通路にある扉から見守っていたロイドはエリィに尋ねた。
「ええ、元々おじいさまはアルカンシェルのファンだから。リーシャさんのデビューもすごく楽しみにしているみたい。」
ロイドに尋ねられたエリィは頷いた後、”月の姫”の衣装を身に着けているリーシャに視線を向けた。
「あはは……期待に応えられるといいんですけど。それより………”銀”という人が言ったように本当に何か起こるんでしょうか?」
視線を向けられたリーシャは苦笑した後、真剣な表情で尋ねた。
「………わからない。だが、可能性は高いと思う。捜査一課が警戒しているからイリアさんは大丈夫だと思うけど。」
「そうですか……」
「それよりも………イリアさんに今回のことを本当に伝えなくてよかったの?劇団長も同じ考えみたいだし………」
「はい……いいんです。あの人には――――イリアさんには余計な心配をしないで輝いていて欲しいですから。それが私の………私達全員の願いなんです。」
「君は本当にイリアさんが好きなんだな…………いったい、どうしてそこまで?」
エリィの疑問に微笑みながら答えたリーシャを見たロイドは口元に笑みを浮かべた後、尋ねた。
「ふふ……この劇団には、かなり強引に誘われてしまいましたけど………でも私、嬉しかったんです。クロスベルに来るまで………私は決められた道しか歩いていませんでしたから。」
「え………?」
「だからあの人の演技を見てとても惹きつけられたんです。ああ、こんな風にただ上を向いて力強く輝ける人がいるんだって。ふふ、決して手が届かないものだから憧れてしまったのかもしれませんね。」
「リーシャさん………」
寂しげな笑みを浮かべて語るリーシャをエリィは見つめ、ロイドは考え込んでいたが
「―――手が届かないなんてそんな事はないんじゃないか?」
「え………」
「確かに、今回の君の役は”月の姫”………”太陽の姫”の輝きを受けて映える役かもしれない。でも、素人目から見ても君とイリアさんの演技の良さはそれぞれ別物じゃないかと思った。君は君自身として……いつかきっと輝けるはずだよ。」
静かな口調で語り、リーシャをはげまそうとした。
「そう………でしょうか?」
ロイドの話を聞いたリーシャはどこか期待がこもった様子を見せながらロイドに尋ねた。
「ああ、だからこそイリアさんも君を誘ったんじゃないかと思う。今回の事件……俺達も壁にぶつかったけど何とかここまで辿り着いた。きっと解決してみせるから………だから君も全力で頑張って欲しい。」
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