一章
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「あ、やっときた!」
「あ?もう出番か」
「ギリギリセーフ。次の人のが終わったら控え室行かなきゃ。もちろんぼくだけね」
「そうか。じゃ、最後見とくか」
ふーん
下手くそっていってたわりには気にしてるんだ、他のひと。次は2位のひとだから、まぁ一番の強敵かもしれないけどさ
お。始まった
「…………」
その飛空挺は他とは比べ物にならないほど優雅だった。減速しているはずだけどそれもわからない。ぼくがすごいと言った直滑降だって、華麗に90度折れ曲がってギリギリのところで再上昇。雑なところがない。技の一つ一つがつながって、さぁいくぞ!っていう時間がちょっともない
綺麗にカーブを描き、飛空挺を真下や真上に自由に操る。本当に、鳥のよう……
「……やばいな」
「え?」
空から目を離すと、そこには
なぜか嬉しそうに笑うゼロがいた
「負けたわ、俺」
えええええええええええええ!????
「次、シルクさん。搭乗し準備してください」
「はい……」
サイアクだ
ゼロが負けっていった
いや、わかるよ
素人から見てもアレはすごかった
ほんときれいな演技だった
でも負けるだなんて……
嘘を言わないゼロが負けるだなんて……
「おう。遅かったな」
飛空挺の搭乗口には、けろっとしたゼロが煙草を吸っていた。堂々と、隠れるようすもなく
というか、隣に試験官いるんですけど!?
「ちょ……ゼロ!?」
「静かにしろって。周りに訊かれたら流石に無理だぞ」
「だって試験官!」
隣にいるじゃん!
バレてんじゃん!
めっちゃ堂々と!!
ってか一緒に煙草吸ってるし!
「あーん?言ってないんですかい?ゼロさん。当事者でしょう?あのこ」
「説明するのがめんどくさくてな。それより、いいんだよな?さっきの」
「あぁ……ちょっと待ってくださいよ。長年この仕事やってるけど、そーゆーこと言ってきた人はじめてなんで……」
……あーもう、わからん
わかんないけど
どーせ
負け、だし……
「なんだその面」
「……えーと。ゼロはなんか悪い顔してるね」
にやっとして……悪巧みしてる顔だ
「ま、面白くなってきたからな」
それからまた試験官とぼそぼそと話し、それがおわったとおもったら今度はテキパキと動きだす。手袋して、ドライバーもって、ペンチにごっついハサミ……
「…………なにやってんの」
「改造」
「………………」
はい!????
「お前、俺が負けると思ってるんだろ」
「負けっ
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