第111話 少年達は前に進めないようです
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て松永が前に出る。
「ネギ君、君は先程『この世界を救う』と言ったが、代替案はあるのかね?」
「………確定では、ありませんが。」
「案はある、と。ではどの道、時間が増えた分君は小躍りすると言う訳か。」
「踊りませんよ!?その通りですが、目の前の鬼門が問題です。」
「ふむ、ならばその鬼は我輩が任されよう。」
「………………はい?」
こんな時にまで冗談か――とネギは文句を言いかけるが、松永が愁磨達しか
見ていない事に気付き口を噤む。"狂人"は満足気に頷くと、愛刀を抜き放つ。
「では共に踊って頂けるかな、お三方。」
「狂人とは思っていたけれど、こう言うしかないわね。……久秀、気でも狂ったの?」
「ふむ、では有言実行と行こう。――"天我縛鎖"。」
大仰な振る舞いで抜いた"羅刹九星"で、コンと軽く地面を打った、瞬間。魔力の発露も
無しに空間が愁磨達三人と松永を喰らった。
捻じれた空間が徐々に形を取り戻して行くと、見えて来るのは宮殿とはまるで違う、
赤の世界。
更に形を成して行くのは襖や畳、精巧な作りの欄間、そして炉・・・嘗ての松永の
居城、その一室が15m四方程に拡がった空間に変化した。
「固有結界とはお前らしくない能力だな。だがまさか、より上位の固有結界を持って
すれば破れる、と言う事を忘れてはいないだろ?」
「フフフ、幾ら君らとて、我輩のこの"天我縛鎖"から逃れる事は出来んよ。
なんせこの空間では魔力や気、神力までもが封じられるのだからね。」
「ほう……?」
感嘆と共に愁磨は"うんめいのうつくしきせかい"を展開しようとするが、松永の言う
通り、自身から魔力、その他の力が感じられない事を悟る。
派手さを好む松永らしくない、地味で強力な"結界"。
しかしそれを造るには、見合う解除条件と制約を設定しなければならないのだ。
「なぁに簡単な事だ。この空間に取り込まれた者は我輩と何度でも仕合い、
勝利すれば出られる。
ただそれだけの"結界"である。先に言った通り、純粋な剣の勝負で、ね。」
「冗談キッツイなぁオイ。相手によらなくても大抵詰むだろうよ。」
剣と剣の仕合。それだけならばこの三人に負けは無かっただろう。しかしそこに"のみ"と付いて
しまえば話は別だ。あらゆる剣技を使える愁磨、対剣戦闘を幾億と熟したノワールと言えども、
やはりそれを発揮するには強化と、何より"力"で技を顕現させなければならない。それでも達人の
域には達する二人だが、相手が"松永久秀"ともなればやはり足りないのだ。
戦国時代に於いて"最強"であれば松永は中堅から頭一つ出
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ