第111話 少年達は前に進めないようです
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そのまま残されており、親友と呼べる関係であった事を知ってはいたが、
まさか、魔法世界を震撼させている『皆殺し』が子供の様に泣くなど考えもしなかった全員が
狼狽え、先程とは別の意味で動けなくなってしまった。
「あーあーあー、だから言ったのに、もう……。」
「・・・・パパ、お馬鹿。」
「うびゅばー!おうびゃびびゃえあばべぁー!」
「もうぜんっ然分からないから、ちょっと黙ってなさい。」
「う゛ん゛…………。」
やれやれと呆れながらも、敵の事など歯牙にもかけずノワールとアリアは二人がかりで泣き続ける
愁磨を慰める。それからたっぷり十分後、鼻水を啜りながらも復活し、再度立ちはだかった。
「あ゛〜……で、ネギ。お前らは何をしに来たんだ?帰りたいんなら帰らせてやるぞ?」
『『『………………………えっ!?』』』
「おぉう、まさかの申し出だな。」
泣きやんだ愁磨の最初の提案。普通であれば邪魔をするな、今退けば見逃す――
そう出るものと思っていたラカン達は、出鼻を挫かれた事もあり、抱いていた気合を
半消してしまった。
そして最終局面でもあるこの場、ネギは僅かな期待を込めて自分達の目的を告げる。
「僕達は……麻帆良に帰りたいだけです。でもそこには、愁磨さん達も居て欲しい…
居なければ嫌なんです!世界を滅ぼすなんてもうやめませんか!?
皆で考えれば、きっと、もっと……!」
『日常』に戻りたいと言う、ほんの僅かな願い。それが懇願と、慟哭とで響く。
麻帆良から魔法世界へ来て僅か一ヵ月。壮絶な特訓でも、苛烈を極めた戦闘にも
色褪せず、鮮明に思い出せる学園生活が、戻れない程遠いと感じてしまうからこそ、
必死で訴える。例えそれが――
「それは無いよ、ネギ。『みんな』で考える猶予が尽きたから、我々がこうしている。
この世界の安寧無くして俺は戻らないし、成ってしまえば、俺は帰れない。」
――叶わない夢であろうとも。
「………つまり、計画が失敗して、僕達がこの世界を救えれば、一緒に帰ってくれるんですね?」
それでも、ネギは夢を語るのをやめない。
折れてしまいそうな覚悟に楔を打って支える様に、自分に言い聞かせるように。
それを聞いた仲間達は嘗ての仲間とそっくりだと笑い、今では対峙する仲間も
一瞬笑った。
「それが出来るのなら――見せてみろ!お前の、お前達の可能性を!!」
「「っしゃぁ、行くぞおらぁああああああああああああああ!!!」」
「待ちたまえ、無策で突っ込んだら犬死するだけだ。」
"皆殺し"が叫び、男気溢れ過ぎる二人が呼応するが、それを抑え
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