code6 因縁
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
すような行為ではなく、生存確認程度だ」
「しかし、その男はこの世界から消息を絶った、監視役にも気づかれずにね」
姫花は歯を食い縛り、怨念を垂れ流すように言った。
「あのクソッタレの『ゼロ』に匿われている。『ゼロの世界』にな」
「それでは他の元メンバーも匿われているのでは?」
「元ナンバーズのメンバー、一番と三番と四番の神玉、『元』九番を除き、残りのメンバー、二番は『ゼロ』から身を引いたものの消息は不明。残りの元メンバーは全て死体が発見されている。おおよそ利用価値の無さとゼロの世界への情報を隠蔽するために殺したのだろう」
「成程、先程の正体がわかっている八名の内、一番と三番を含み、残りの一人がその男であると言うことですか」
颯希が合点が行った、というように頷く。
同様に姫花も肯いた。
「その通り、そしてそれこそがまずいんだよ」
「神玉の異能、『赤玉』は自分主観の代償の取引。奴が価値を決め、代償を特価交換する」
「彼は自分以外のもの全てを等しく下に見ている。…先程言ったとおり品定めするのは彼だ」
椅子に座り手を組んで鋭い目つきで姫花は語る。
「彼が相手に対して何も思わなければ、触れずに相手の心臓を抉り、殺せるんだよ」
しかし、姫花は先程とうってかわって、獰猛な笑みを浮かべて言った。
「だからこそ雄大を用意した」
「神玉と旧知の親友であり、因縁がある彼をね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二人の男がそこにいる。
片方の男は片腕を損失し、もう片方の男は胸に手を当てて膝をついている。
二人を取り巻くように多数の赤い玉が渦巻き、その中でも特に目立ち、中身を持った赤い玉が浮遊している。
片方は血が抜けて色が白くなりつつある片腕、もう片方は鮮やかな紅、心臓
黒髪の男は静寂の中、自分の失った腕には目もくれずに。ただその男を凝視している。
赤髪の男の目は虚ろ、目に集点はなく、死を待つだけのその身体でただ、ただ地面を見ている。
やがて、赤髪の男の身体は崩れ、周りの赤玉も親を失った子供のように空中を彷迷う。
赤髪の男は顔を上げ、黒髪の男の方を向く。
黒髪の男は哀しい目で『赤神』の男を黙視する。
静寂を破るように赤髪の男は呟く、その後笑みを浮かべたと思うと沈むように倒れ込む。
やがて、行き場を失った赤玉は次々に割れ弾める。
勢いよく、静かに。
全ての赤玉が割れ終わる頃、大きな赤玉は重力を思い出したようにゆっくり沈む。
男が自身の腕の入った膜を触れると膜は弾けて無くなってしまう。
残った赤玉が地面へと触れると同時に心臓を包み込む膜は消失する。
残ったのは最後まで赤神を見ていた霊遥葵雄大と、地面に墜ちるトマ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ