第180話 曹孟徳との再会
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何でも正宗に着いていきたいようだ。
「正宗、私は黄巾の乱が終結した頃から、あなたの考えは読めていたわ。でも、私はあなたでは天下を取ることなんてできないと思っていた。だって、あなたは甘いから。決して非情になれない」
華琳は正宗のことを懐かしそうに見ていた。
「その私の元に何故来た?」
華琳の口振りでは彼女にとって正宗は甘い人物で仕える価値がないように聞こえる。それを正宗も察したのか華琳に聞いた。
「荊州でのあなたの行いを聞いたから。あなたのことだからどうせ甘い判断で敵を許すと思っていた。でも、あなたはしなかった。徹底してあなたの命令で粛正した。女子供だろうと容赦なくね。何故、あなたがそこまでのことをしたのか気になったの」
「荊州を二度と戦場しないと誓ったからだ」
「そう。正宗様、聞かせてもらえますか? 私を連れていってくれるか教えてください」
華琳は目を瞑り頷くと、正宗のことを見た。華琳は正宗のことを突然様づけで呼んだ。今の彼女は正宗の友人としてではなく、目下の者として正宗に聞いているのだろう。その証拠に口調は丁寧なものに変わっていた。彼女は自ら乱世に名乗りを上げようとしていたに違いない。だからこそ、自らの野望を捨てでも正宗に仕える意義があるか確認したいのだろう。
「断れば次会う時は戦場になるか?」
「当然です。敗北しようと戦い抜く覚悟はあります」
「貴様、さっきから聞いていれば図に乗りおって!」
沈黙は守っていた泉が華琳を睨み怒鳴った。泉から華琳を守るように春蘭が現れた。剣は天幕の入り口で衛兵に預けているため持っていないが、春蘭は腕力で泉と相対するつもりのようだ。
「主人への忠誠心が厚いのはいいことだけど。場所を弁えなさい。私は正宗様と自らの誇りを掛けて話をしている。正宗様が私を生意気と殺すならそれまでのこと。私の兵達は最後の一兵まで冀州軍に襲いかかるわ」
華琳は泉を一瞥し言い放った。華琳の啖呵に朱里達は絶句してしまった。彼女の言葉を額面通り受け取るなら、正宗と一緒に都に行けないなら全滅覚悟で正宗軍と戦うと言っているのだ。
「正宗様、返答をお聞かせください」
華琳は物怖じしない堂々した態度で言った。
「着いていたいなら着いてくればいい。今の洛陽は不穏な空気がある。もしもの時は君を見捨てることになるぞ」
正宗は厳しい顔で華琳を見た。
「望むところです。それで構いません。私は貴方様が思うよりしぶといです」
華琳は正宗のことを挑戦的な目つきで見た。この再会により、華琳と秋蘭は正宗に同行することになった。華琳は自分の留守の間は朱里達の指示に従うよう春蘭に命令した。
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