第180話 曹孟徳との再会
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強は行います」
冥琳は正宗に言った。
「冥琳、献策ありがとう。だが、その案は無駄骨になるかもしれん。曹孟徳に会って見ないと何とも言えんな」
正宗は華琳がやってくるのを待った。
八刻後(二時間)が経過した頃、華琳が正宗のいる天幕に入ってきた。華琳は髑髏をあしらった特徴的な軍装に身を包み、春蘭と秋蘭を引き連れ堂々とした佇まいだった。
正宗の姿を捉えた華琳は挑戦的な視線を向けていた。これは華琳の地で悪気があるものではなかったが、泉は華琳の態度に不満を覚えているようだった。華琳は泉の敵視の視線を意に介さず颯爽と正宗の面前まで進み、彼の前で膝を折り頭を下げ拱手した。
「車騎将軍、面会の栄を賜り感謝いたします。陳留国相・曹孟徳でございます」
華琳は堂々した態度で寸分の隙を見せない所作で正宗に挨拶した。
「?州よりわざわざ余の元に兵を率いてきた理由を聞かせてもらえるか?」
正宗は敢えて文の内容に書かれていることを今一度訊ねた。
「世の乱れを正すは為政者の努め。速やかに天下に静謐をもたらす者がいるなら、私は迷わずこの身を捧げる覚悟はできています」
華琳は顔をゆっくりと上げ、正宗の顔を正面から見つめた。その表情は先程までの挑戦的な視線は成りを潜め神妙そのものだった。
「天下の静謐をもたらす者とは?」
「車騎将軍、貴方です」
華琳の双眸が正宗を捉えた。その瞳は正宗を見定めているように見えた。正宗は堂々と「余は天下を狙っている」など口を裂けても言えない。だが、華琳は正宗の狙いは既に看破しているように見えた。
「余は都に争いをしに行く訳ではない。劉景升殿の助命嘆願と王司徒の要請で上洛するのだ。兵は多くを連れていくつもりはない」
「承知しております。私と夏侯妙才も同行させて欲しいのです。兵のことは夏侯元譲に任せるつもりです」
華琳は正宗に同行することを願いでた。正宗は泉と騎兵二千を連れ上洛するつもりでいた。上洛に同行する騎兵は馬術の優れた者が選抜された。これは都で一旦ことが起きれば并州に逃げ込むためである。そこに華琳と夏侯妙才が同行するとなれば、想定外の事態になるかもしれない。正宗は表情を曇らせた。
「それが余に求めるモノか?」
正宗は華琳に質問した。
「はい。貴方様が本当に仕えるに足る人物か見定めたいのです。安心してください。この曹孟徳。自分の身は自分で守ることができます」
華琳は笑みを浮かべ正宗を見た。彼女は双眸には強い意志が感じられた。彼女は有事に足手まといになるようなら、自分を見捨ててくれて構わないと言っているように聞こえた。
「華琳、君はいつになっても剛胆な性格だな」
正宗は溜息をつき口調を崩し華琳に声をかけた。彼女は何が
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