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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第九話 南西諸島攻略作戦(後編)その2
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残骸が儚げに漂っているだけだった。
「こ、これで第何波きたの?」
足柄が肩で息をしながらつぶやいた。
「わ、わからないわ。でも、もう来ないようね。」
飛鷹が息を切らしながら答えた。翔鶴と飛鷹はいったん退避したが、その後回り込むように殺到してきた敵機動部隊の別働隊の奇襲を受け、再び伊勢や日向たちと合流していたのだ。
「だが・・・いつまでもここにいるわけには・・・・いかない。ぐっ!」
「日向!!」
伊勢が日向を抱きかかえた。戦闘終了間際に襲来してきた数機の敵機から放たれた爆弾が直撃していたのだ。
「バカ・・・・。どうして私なんか庇って・・・。あんなにいつも私の事叱ってばかりだったのに――。」
「バカであろうと何だろうと、伊勢は私の姉だ。体が勝手に出てきたとしか思えないな。」
日向が伊勢を見上げてフッと力なく笑った。
「日向・・・・。」
「伊勢さん。」
扶桑が近づいてきた。彼女は無傷のようだったが、艤装の主砲の一門が根元からねじまがっていた。
「ここは危険です。敵攻撃部隊を排除しましたけれど・・・・。」
扶桑は周りを見た。山城は扶桑をかばうようにして被弾した大小の砲弾のせいでボロボロだったし、古鷹も肩に傷を負っている。妙高や足柄は大丈夫そうだったが、だいぶ疲れているらしく肩を落としている。
「敵の狙いは明らかに私たちです。となれば先に行った三人が心配です。もし回り込まれていたら――。」
「そうね、集中砲火を浴びてしまう。今の状態ならひとたまりもなくやられるわ。」
「山城、あなたまだ動ける?」
「はい!姉様。」
ボロボロの山城だったがすぐに力強くうなずいた。扶桑は伊勢のところに行き、短く言葉を交わした。一瞬伊勢の顔が変わったが、すぐに強くうなずいた。扶桑はすぐに戻ってきて、
「あなたは足柄さん、妙高さん、古鷹さん、飛鷹さん、日向さんとともにすぐに翔鶴さんたちを追いかけなさい。急いで。まだ遠くには行っていないからすぐに合流できるはずよ。」
「ですが――。」
「これは、命令です。」
扶桑は声の調子を変えなかったが、一語一句斬りつけるような言葉に山城は身震いした。
「は、はい!!すぐに行きます。ですが――。」
「私なら大丈夫。」
扶桑は微笑んだ。
「伊勢さんと私とでここを支えます。いずれすぐにビスマルクさんたちが駆けつけて来てくれるはずだし、誰かがここに残って連絡役を務めないと。そうでしょう?」
山城はきっと扶桑を見た。
「わかりました。姉様、伊勢さん、どうか無事で!!」
山城は他の艦娘たちに声をかけると、全速力でその場を離れ、後を追った。伊勢と扶桑はそれをじっと目で追っていた。

そして――。
その遥かかなたで全速航行を続ける数人の艦娘がいた。
「翔鶴さん、しっかりしてください!!」
走り続けながら
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