12話 日常回
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ゃったのかな〜?」
ニヤニヤと笑いながらテーブルの上で肘を立てて指を組む。その上に顎を乗せた楯無の表情はイタズラっ子のそれだ。
それには言い返さず鬼一は手早くスパゲッティを食す。この状態になったらどうあがいても勝てないことは過去の経験から理解している。
そして楯無の言葉は鬼一の本心を当てていた。鬼一が否定しようとしないことがその証明と言ってもいいだろう。
このまま適当にいなしていればどうにでもなるだろう、と鬼一は楽観していた。そしてそれは当たっていただろう。
もう1人の存在を忘れていなければの話だが。
「つっきー……私の笑顔、可愛かったー?」
僅かに頬を染めながら本音が困ったような笑みを浮かべながら楯無に乗っかってきたのだ。
大ジョッキの飲むヨーグルトに口をつけていた鬼一だったが、思わぬ伏兵に吹き出した。
それからの時間は特に語ることはないだろう。
その後鬼が1人、小悪魔2人に弄り倒されただけのことだ。
こうして鬼一の休日は続いていく。
――――――――――――
「……エライ目にあった……」
疲労が顔に浮かんでいる鬼一は本音と共に1年生の共用休憩スペースで休んでいた。休日でなおかつまだ9時前であるからか他の生徒の姿はほとんどない。
楯無の姿はない。用事を思い出した、と一言を残して食事の終わった鬼一たちと別れて姿を消したのだった。後ほどアリーナで再開だけ取り付けた。今日は楯無と模擬戦の約束をしていたからだ。
「つっきー、ごめんね〜」
口元を長い袖で隠しながら謝罪する本音。謝ってはいるが隠れている口元は笑っている。鬼一に申し訳ないと思っているがそれでも、先ほどのやり取りは余程面白かったようだ。
謝られた鬼一だったが、本音がなんとなく笑っているのは理解できていた。しかしそれを怒るような真似はしない。悪意はなく、冗談の範囲内だとも分かっていたからだ。
「全然いいですよ。たっちゃん先輩が全部悪いんで」
本人がいないことをいい理由に罪を全部楯無に被せる鬼一。
「つっきーってもっと取っ付きにくい人かなぁ、って思ったけどそんなことないんだねー」
鬼一はその言葉に意外そうな反応を示す。どうやら自分にそんな印象を持たれていることを知らなかったようだ。
「……僕ってそんな絡みにくい人に見えますか?」
自分に対する反応を知る機会がなかった鬼一にとって、本音の言葉は興味を惹かれるものだった。それを気にする余裕がなかったのもそうだが、周りから言ってくれる人がいなかったのも原因か。
「セッシーとぶつかった時から、ずーっとピリピリしてたよ。こう、邪魔するな! 俺に関わるな! みたいな。それにおりむーが代
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