12話 日常回
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る意味、その犠牲者だった。
「つっきーは同年代の女の子が怖くないの〜?」
そう言った本音の表情は優れない。自分の行動で相手を不快にさせてしまったのか、という不安からだ。
「昔は何よりも嫌いでしたけど今は特別気にすることはないですね。4年という時間と沢山の人と関わりを持てば嫌でも変われます」
同年代の女子が苦手な鬼一ではあったが、沢山の大人たちや鬼一のファンの中には同年代の女の子だっていたのだ。その人たちと交流を持つことで鬼一の意識は少なからず変化した。
「少なくとも言えることはその虐めてくるようなロクでもない人と、そうでない人を一緒くたにするのは可笑しいですしもったいないです」
「もったいない?」
「人との関わりってとても大切なことなのに、自分の好き嫌いだけで判別すると視野が狭まるってことですよ」
そう話しながら鬼一はステーキを食べ終える。
「それに、子供のイジメなんてよりもえげつない真似されたことのある身としてはそんなもん優しいものです」
苦笑しながら自分の左手を見る。手袋に包まれたそれ。
「それからは自分に対して悪意を持っていない人間に対しては誰であろうとも邪険に扱うつもりはないです。同年代の女子であってもね」
残ったスパゲッティと温野菜の処理に取り掛かる。満腹寸前ではあるが、気合を入れて胃に詰め込み始める。
「じゃあ、IS学園の女の子たちも?」
「こうやって布仏さんや先輩と食事していることがその答えになりませんか?」
鬼一はそう言って締める。楯無はその答えに満足したのか、笑いながら椅子に深く背中を預ける。
「ま、というわけで布仏さん。あだ名に関してはつけられて呼ばれたことがないだけですので、特に気にする必要はないですよ。戸惑っただけですのでそう呼んでいただけると嬉しいです」
そういう鬼一の口調は普段よりも少し明るい。表情も穏やかだ。なぜなら、目の前にいる女の子はそういった酷いことをする子には見えないからだ。先ほどの本音の表情からそれは読み取れた。多分、穏やかで優しい人なんだろう、と。
「う、うん! 私のことも名前、本音でいいよ!」
花が咲いたような明るい笑顔をこぼす本音に、鬼一は食事の手を止める。
「あれ〜? 鬼一くん、どうしたのかなー? 顔が赤いわよ?」
獲物を見つけたと言わんばかりに目を輝かせた楯無は鬼一に突っかかった。
苦い顔になる鬼一。
「別になんでもないですよ。それより、さっさと食事を済ませたいので話しかけないでください」
冷たく対応して楯無の追求を避けようとする。が、目の前の悪魔はそれを見逃すほどお人好しではなかった。
「本音ちゃんの笑顔は可愛いからね〜? それに見蕩れち
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