12話 日常回
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ちゃったのね」
やや寝ぼけたままの本音の話を聞いて楯無は最後に、残念、と締める。まだ生活に慣れていない状態だと平日に掃除や雑務を行う余裕もないだろう。それで爆睡している本音は追い出されてしまったのだ。
鬼一はその話を聞きながらステーキを食べ始める。山のようにあったサンドイッチは姿を消し、スパゲッティや温野菜も残り半分になった。お腹はそろそろ満腹の状態。
ステーキを口に入れようとした鬼一だが、その手を止めて本音に質問する。
「布仏さん、そういえばさっきのってもしかして、僕のことですか?」
眠気覚ましのお茶を飲んで先ほどより意識がはっきりしてきた本音は応えた。
「うん、つきよだからつっきーだよ〜」
その言葉に鬼一は形容し難い微妙な表情になる。その表情を見て楯無は笑いそうになった。
「あら鬼一くん、その呼び方はお気に召さない感じかな?」
楯無の言葉に本音は悲しそうな表情になる。その表情をみた鬼一は慌てて否定する。
「いえいえ、そういうわけじゃないです。あんまり同年代、というか、あだ名を付けられて呼ばれたことがないのでどう返していいか分からなかっただけですよ」
鬼一は冷静に過去を振り返る。
小学校時代は女尊男卑が原因で途中から不登校になったし、友人と言える人間もいなかった。中学校時代に至って既にプロゲーマーで各地に趣いていたから、1度も行っていない。勉強などは亡くなるまでは両親が、その後は全部腕のいい家庭教師や周りの大人たちに教えてもらっていた。
名字で呼ばれることや名前で呼ばれること、もしくは称号で呼ばれることが日常だったそんな鬼一にとっては新鮮さや戸惑いなどが混じった複雑な心境であった。
「あら、学校でそういったことはなかったの? 友達とかにあだ名つけられるとか」
「うーん、小学校の時は女の子に虐められて学校に行かなくなりましたし、中学校の時はe-Sportsであっちこっち行っていたので学校に友人はいませんでしたね」
鬼一は軽い調子で言うが女子の2人は驚く。
「ちょ、そんな感じに軽く言われても結構ヘヴィな話なんだけど」
「別に今の世界では珍しくもないでしょう。それに、昔は昔のことですし」
そういって鬼一はカットしたステーキをひと切れを口に放り込む。本当に気にしていないみたいだ。
女尊男卑、女性が優遇され男性が下に見られる世界は教育の場にも浸透している。幼い子供達は本来それとは無縁のはずなのだが、女性教師がそれを持ち込み子供達に教えるのだ。
『女の方が優れている。男は女よりも下の存在』と。
無論、それが全ての女性教師を教えているわけではないのだが、現実として無垢な子供達を歪ませている大人は存在する。鬼一はあ
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