12話 日常回
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としたのだ。それに気づいて少しずつ食事の量を増やすことになったのだが、今の量でなんとか少しずつ体重が増える、以前の体重に戻せるようになったのだった。
そしてトレーニングで筋肉や持久力をつけることを考えると最低でもこの食事量を維持する必要があった。そしてそれは鬼一にとってただただ辛い作業のようなものだ。満腹になっても食べなくてはいけないのだから当然だ。
目の死んだ鬼一が機械のように食べ物を口に運ぶ。楯無はそれを見て「……こんな美味しくなさそうに、楽しくなさそうに食べる人って他にいないわ」と感想を漏らす。
少ない生徒の一部がその食事の量に一瞬視線を奪われるが、すぐに自分たちの食事に戻る。この光景は今となっては見慣れたものであった。
「……あれ? 本音ちゃん?」
ふらふらと食堂に入ってきたのは、狐のような着ぐるみパジャマを着込んだ1年1組の女生徒、布仏 本音だった。すごく眠いのか瞼が閉じかけているし足元がおぼついていない。
「……あー、たっちゃん会長とつっきーだぁ」
楯無から声をかけられて一瞬だが目を見開いた本音。足元がフラフラのまま2人の元へ歩き出す。
鬼一は食事の手を止めてその様子を見る。心配なのか席から立ち上がり本音の元へ歩く。
「布仏さん、大丈夫ですか。体調悪いんですか?」
あまりに様子がおかしいことに鬼一は体調を崩しているのではないか? という不安に駆られ、手を貸そうとする。
「鬼一くん、体調が悪いんじゃなくて純粋に本音ちゃんは眠いだけだから心配しなくてもいいわよ」
鬼一の背中に楯無の声が投げられる。どうやら楯無は何度かこの光景を見ているようだった。
そこで鬼一はふと疑問に思う。そういえば先ほどの発言、お互いのことを知っているようだった。
「? あれ、お二人はお知り合いでしたか」
「つっきー、私も生徒会に入ってるんだよ〜」
「本音ちゃんは生徒会書記を務めているのよ」
「あぁ、それで」
鬼一はその言葉に納得する。当たり前であるが生徒会は楯無1人で運営しているわけないのだから、誰かしらいても不思議ではない。仕事時に楯無のテンションについていけるのなら、目の前の着ぐるみ女子も大概凄いのではないか? と鬼一は考える。自分なら3日で根を上げる自信がある。今でも結構精神的に来ることが多いというのに。
「鬼一くん、なんか失礼なことを考えていない?」
「なんも考えてませんよ先輩」
楯無からのジト目と質問に最速で受け流す。迂闊な反応をすると当分いじられることは明白だ。素知らぬ顔で鬼一は自分の席に戻り、本音は楯無の隣に座った。
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「あらら、休日で纏めて掃除したいからルームメイトに追い出され
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