12話 日常回
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のだ。
「それでも僕がISに乗って戦い続けるのは、『ゲームはいつだって戦いであり自身にとって救い』だからです。その世界を汚されたくない、下に見られたくないからこそ全力で戦うことを決めました。そこだけは自分で選択しました」
それが答えだ。
「と、長々と偉そうに喋りましたがこんなところでよろしいでしょうか?」
そう苦笑して話を終える。
「あ、あぁ、鬼一ありがとう。俺に話してくれて」
戸惑いを隠しきれていない一夏さんが感謝の言葉を言う。多分、予想を超えた話だったかもしれない。
残っているお茶を勢いよく飲み干す。一息ついた僕は立ち上がる。時間を確認したらたっちゃん先輩と模擬戦の時刻が近づいていた。急ぐ必要はないが早めに行きたい。
「さて、僕はこれから用事があるのでこれで失礼しますね一夏さん。お茶美味しかったです」
茶碗を一夏さんの近くの机に置く。茶碗を置いた僕はそのまま部屋から出ていこうとする。ドアノブに手をかけたところで背中に一夏さんの声が届いた。
「な、なぁ、鬼一!」
「どうしました?」
首だけを回して横目で一夏さんの姿を捉える。
椅子から立ち上がった一夏は上手く言葉に出来ないように見えた。
「……っ……いや、なんでも、ないっ」
腹から絞り出すように一夏さんはそう言った。その時の一夏さんが何を言おうとしたのかは分からない。でも、僕にとっては受け入れがたい言葉だったかもしれない。
「そうですか。それではこれで失礼します」
そう言って僕は部屋から出て行く。
「……?」
一夏さんの部屋から出てドアを締めると、廊下の曲がり口に見たことのある後ろ姿が一瞬だけ見えた。確かあの後ろ姿は―――、
「……篠ノ之さん?」
なぜ、彼女はあんな慌てていたのだろうか?
……僕の気にすることじゃないな。
そうして僕はアリーナに向かって歩き始めた。
――――――――――――
鬼一はアリーナへの通路を歩いていた。
「……にしても」
セシリアと楯無の顔が思い浮かぶ。先ほどと違って思い出しても身体が熱くなることはない。自覚していない内に他者から指摘されてしまったからか取り乱してしまった。だが鬼一にとって本音の言葉はあまりにも衝撃的すぎたのだ。もし、これが少しでも的が外れているものであれば鬼一は鼻で笑い、一蹴しただろう。
それが出来なかったのは少なからず事実であることを、鬼一はあの場で自覚した。そのことに鬼一は胸が痛くなる。
その痛みがなんなのかは分からなかった。
深く、深く、その痛みを消し去るように深呼吸を何度か繰り返す。あれだけ自分が取り乱したのは一体いつだったか? 確か、まだ両親
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