12話 日常回
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くる」と言っていたが、今何をしているのだろうか?
「まぁ個人的には専用機なんてピーキーな代物よりも、汎用性の高い訓練機を与えたほうがいいデータを取れると思いますがね」
訓練機で得られた汎用性の高いデータの方が他の男性にも活かせるのではないかと鬼一は考えるが、政府が何を考えているのかは流石に知りえない。
「IS学園での実績や成績で僕の今後が決まると思います。操縦者として優れた成績を出せば代表候補生になるでしょうし、そうでなければテストパイロットがいいところでしょうね」
そこで鬼一は言葉を切る。テーブルの上に置いてある缶ジュースに口をつける。
出来ることならISから降ろさせて欲しい、と鬼一は思うが現実はそうもいかない。だけど自分の頑張りで他に男性操縦者が見つかるなら、とも考える。自分や一夏以外に男性操縦者がどんどん見つかれば自分もお役目御免になるだろう。楯無にはああ言ったが、もし、もう一度全力であの世界に挑む好機があるならそれを掴みたいとも思う。
「まぁ、それよりも本音さんのことも聞かせて欲しいです。今までどんな風に生活していたんですか?」
――――――――――――
それから2人は、互いの今までの生活などを話していた。鬼一にとってはやや特殊な話を。本音にとっては鬼一の語るe-Sportsの世界は夢のようなお話だった。
「というか本音さん、たっちゃん先輩の家に仕えているんですね」
「そうだよー、お姉ちゃんと一緒に仕えているんだよねー」
更識家に仕える身として、また、幼馴染として姉妹揃って生徒会に所属しているという話は鬼一は初耳だった。楯無からそう言った話を聞いたことがなかったからだ。
正直ちょっと羨ましいとも思う。鬼一には兄弟はいないし幼馴染と言えるような人間もいない。そういったちょっとだけ特別な関係を羨んだ。
「あれ? 本音さん、生徒会に所属しているならそのお手伝いとかはどうしているんですか?」
「う〜ん? 私がいると仕事が増えるからいないほうがいいんだよー」
お姉ちゃんにも怒られるし。そう言って本音は笑ってペットボトルのお茶に口をつける。
凄いことを言うな、そう思った鬼一は笑う。
「今はお二人共、姉妹揃ってたっちゃん先輩に仕えている、って感じなんですか?」
そこで鬼一は自分が何かを忘れていることに気づく。それがなんなのかは分からない。
首を横に振って鬼一の言葉を否定する本音。その表情は先ほどよりも暗く沈んだものだ。
「うんうん、私はたっちゃん会長の付き人じゃなくてかんちゃんの付き人だよ……」
話す言葉に力がない。鬼一は『かんちゃん』という単語と本音は更識家の付き人で思い出した。
日本代表候補生 更識 簪。更
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