五十六話:再会
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したがためである。その事実に思い至ったディエチはこれ以上は見過ごせないと標準をなのはに合わせて引き金に指をかける。
相手は動きを止めている。撃つならば今しかない。だというのにディエチの覚悟は決まらなかった。本当に撃っていいのだろうかと悩んでいた。スコープ越しに相手の表情を、生き様を見せつけられた。その上で相手の人生を終わらせるために引き金を引く。それができなかった。スナイパーとしての腕は一流以上のものがある彼女であるがスナイパーとしての覚悟を得るには至っていなかった。彼女が機械よりも人間に近い存在であったために。
(撃たなきゃ……でないとみんなに迷惑をかける。……撃つしかない)
何とか自分の心を騙し奮い立たせる。彼女の狙撃は成功するだろう。心に一生残る不快感を残しながら、一抹の後悔を残しながら。彼女は家族のためだと偽り指先に力を籠める。一瞬後には打ち抜かれた死体が出来上がるだろう。しかしながら、彼女は悩みすぎた。
「…イタッ!? ……翡翠の鳥?」
「誰!?」
「しまっ―――」
まさに引き金を引き抜こうとした瞬間に頭部に鋭い痛みを感じ思わず声を上げてしまう。それはどこからきたのか翡翠の鳥からの攻撃であった。世界を救おうとした古の英雄の最後の置き土産。悪しき者には決して世界を明け渡さないという最後の執念。
「ディバイン・バスター!」
その執念がなのはにディエチの存在を教え窮地を救ってみせた。抵抗する間もなく砲撃で撃ち抜かれディエチは意識を失う。自身のうかつさを悔いると共に、傷つけなくて良かったとどこか安堵したような表情を浮かべて。
「よし、後はヴィヴィオを助ければ。ヴィヴィオ、ちょっと痛いの我慢できる?」
「我慢……する。ママと一緒にいたいから我慢する…!」
一方のなのははディエチの中でそのような葛藤があったことなど露知らずにヴィヴィオとの対話に戻る。正気を取り戻したヴィヴィオではあるがゆりかごの聖王となった彼女には自分で呪縛から逃れるすべはない。だからこそ、なのはは尋ねる。今から砲撃で撃ち抜くことになるが耐えられるかと。
言葉にすると限りなく物騒ではあるが魔力ダメージのため特に問題はない。もしかすればトラウマが残るかもしれないがその後元気に生きていけることはフェイトが証明している。ならば何も問題はない。双方が納得しなのはが全ての魔力の収束を始める。
「いくよ! スターライト―――」
『Starlight Breaker ex fb.』
「―――ブレイカーッ!!」
レイジングハート本体のみならずブラスタービット4基を併用した全方位からのスターライトブレイカーが放たれる。その力はなのはの限界をはるかに超える大出力ゆえに術者とデバイスにかかる負担も大きい。レ
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