五十六話:再会
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ながらクアットロは地面を転がりまわる。
「あ…ああ…ッ! た…たすけて…!」
「『醜く踏みつぶされるような命など生きる意味はない』確かそう言っていたはずだが?」
助けを求めて叫ぶクアットロに対して男は冷たく言い放ちさらに炎をぶつける。せめて早く死なせてやろうという彼なりの気遣いだが殺される側からすればただ苦痛が増しただけだ。声にならない絶叫を上げ、身を焼き尽くす炎から逃れようと必死にあがくがもはやどうしようもない。
「……し…に…たく……な……」
「ああ……はたから見るとこうして生にしがみつくのは控えめに言っても好ましくないな」
最後の希望にすがるように手を伸ばし、そのまま息絶えたクアットロを見ながら男は自分達最高評議会について思いをはせる。今考えればこうして死ぬのは悪いことばかりではないとすら思えてくる。自分達は少々長く生き過ぎた。それは誰から見ても優雅ではない行為だったのだろう。しかし、己が歩んだ道に恥はない。あるとすれば、悲願の一歩前で届かなかったことだけ。
「―――だが無念だ。ああ……後一歩だったのだがな」
最後に小さくそう呟き翡翠の鳥をある場所に飛ばす。恐らくは地獄で友が待っていることだろう。その時はまた世界平和について語り合おう。そんなことを考えながら男は瞳を閉じる。最後の最後まで膝を折ることなく―――どこまでも優雅に。
ディエチはスコープ越しに母娘の戦いを見つめる。容赦なく母と慕っていた人物を攻撃するヴィヴィオ。その攻撃を必死に防ぐものの情ゆえか反撃に転じることができないなのは。ハッキリと自分の意見を言うのであればその光景は見ていたくなかった。
元来、彼女は優しい性格をしており本来であればテロなど起こそうとも思わない。しかし戦闘機人として生まれ、スカリエッティの元にいる以上は戦う以外に道はない。どれだけ心が否定しても義務としてやるのだと自身を騙し続ける。
「ママを…ヴィヴィオのママを返してーッ!!」
「ここに…ここに居るんだよ! だから…! お願いだから止まって!!」
自身の命を平然と奪いに来る娘を凌ぎながらなのはは戦う。自分自身の命を削りながら。
彼女に残された道は大威力の魔法でヴィヴィオの体内にあるレリックを破壊することだけである。だが、聖王の鎧を身に着け力の限りに暴れまわるヴィヴィオを止めることは不可能に近い。せめて足を止めることができればと思うのだが止まるはずもない。―――そう思っていた時であった。
「マ…マ……なのはママ」
「ヴィヴィオ?」
まるで自身を縛っていた拘束具から逃れたように意識を回復させるヴィヴィオ。二人は知る故もないことであるがそれはヴィヴィオを操っていたクアットロが命の危機に瀕
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