五十六話:再会
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をして貰えばどうってことはないですよねぇ」
未だに自分達の優位は揺らがないと確信しきったクアットロは遊びのように笑いながらプログラムをいじる。そもそもゆりかごは囮のようなものだ。軌道上に到達して最強の武力を行使するのも面白いができなくとも問題はない。自分が生きてか弱い命を弄ぶことさえできれば他には特にいらないというのが彼女の持論である。
「ディエチちゃーん。色々と面倒が起きたからエースオブエース様を撃ち落としてあげてぇ」
【……わかった】
「あら? 迷っているの。大丈夫よ、命なんてプチッと潰して楽しむものなんだからぁ」
【……とにかく仕事はこなすよ】
何かしら己の行いに罪悪感を抱いているように見えるディエチを内心で見下しながら指示を送る。それでもなお渋り顔のディエチが消えたところで心底不思議そうに首をひねる。
「ホーント、どうしてこんなに楽しいことを楽しめないのかしら。醜く踏みつぶされるような命なんて生きている意味なんてなーいのに」
彼女はスカリエッティの因子でも残虐性を色濃く継いでいる。それ故にスカリエッティにはある生命への愛というものが薄い。彼女が興味を持つものはスカリエッティの理想と家族ぐらいなものである。
「できそこないの弱っちい命なんて殺されて当然なのにー」
「―――ならば君もそのように死になさい」
突如として聞こえるはずのない声が聞こえてきた。口から掠れた声と生暖かい何かが零れてくる。続いて胸から鈍い痛みが伝わり、焼かれるような熱さが心臓を襲う。一体何事かと視線を下すと自身の心臓は杖らしきものに貫かれているのが見えた。
「……え?」
「生みの親に反逆したものなどできそこない以外の何物でもないとは言えないかね?」
「まさか……どうして生きて…!?」
クアットロが振り返るとそこには死んだはずの男が立っていた。名前を捨て正義の歯車となったかつての英雄が瀕死でありながらも優雅さを捨てることなくそこに立っていた。
「この程度で死ねるのなら私は……英雄になどなってはいないッ!」
そう言ってクアットロの心臓から杖を引き抜く彼の胸には強引に焼いて止血が行われた跡があった。まさかと思うが現に彼が立っている以上はその方法で延命しているのだ。もっとも、いくら止血したからといっても心臓がつぶれた以上死は確定している。その状況でここまで動ける怪物性もまた彼の英雄たる由縁。
「Intensive Einascherung!!」
「あああああッ!?」
ふらつくクアットロを男は一切の容赦もすることなく焼き払う。いくら戦闘機人といえど英雄の最後の一撃に耐えきることはできない。僅かの間もなく全身が焼きただれていき、苦痛に絶叫し
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