彼女達の結末
幕間 三
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、全てを理解する。夢に見た景色は、正に、今流れ込むこの映像。全て、全てが重なっていく。予定された崩壊は、終末は。全ては、彼女が。アリス自身が引き起こした――
「あああ、あああああああッ!! ああ……ッ!!」
あの夢には、自身が居なかった訳ではなかった。あの世界に、アリスが居なかった訳ではなかった。
彼女は居たのだ。アリスは居たのだ。私は、其処で。その光景を。全て、全てを、見ていたのだと。
頭を抱え、髪を掴み。違う、違うと首を振れど、目の前の現実、光景は。脳へと届く無数の悲鳴は、狂騒は。畝り、膨らみ、そして呑み。お前の所為だと責め立てる――言葉を持たない巨大な何か、形を持たない歪な何か。離れる事も逃げる事も、頭を振って消し去る事も出来はしない。憎悪に満ちた自身の鏡像、憤怒に満ちた声の反響。胸を、喉を、掴み、離さぬそれは、蛇のように。蟲のように。アリスの心を蝕んで。
「――治さなきゃ」
やがて、声も枯れ果てて。ぽつりと、一つの言葉が落ちる。
「全部、全部……戻さなきゃ。治さなきゃ……それで、それで、今度こそ……」
掠れ切った少女の声が、屍人の世界に零れて揺れる。全てが壊れ尽くした世界で、過去の思い出、記憶に縋り。
死人は再び立ち上がり、亡者の群れは歩み出す。崩れた死体は繋ぎ直され、歪んだ心を植え付けられる。
幕は、降りず。少女、アリスの物語は。未だ、終わりが来ないまま。
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