彼女達の結末
幕間 三
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。溢れ出した光は瞬く間に視界を埋めて、無機質な体、機械仕掛けの脳。ネクロマンサーとアリスを繋ぎ。
全ては感覚。知識に拠る操作ではない。言語による操作ではない。自分の手足を動かすのと同じ。イメージに拠る直感的な支配。
「大丈夫……分かる。止めれる。止めれる……」
この状況にあってさえ淡々と生み出されるアンデッド。其れ等の生産をコントロールする画面。映し出されたそれを凝視し、慎重に、慎重に。
「これで……!」
止まる。止めれる。人を喰うアンデッドの生産を止める。変える。変えれる。今必要なアンデッド、それは、空を飛ぶ虫達を叩き落とせる巨大な体躯。簡単な言語操作に寄って動かせる肉の重機……ゴライアス。そう、ゴライアス。
既に生産が完了し、格納された状態のそれを解放する。それで、この状況を覆せる。覆せるのだと。
光を。見出した、刹那。
何処かで聴こえた無機質な音。その音と共にモニターが暗転する。緑色の世界に滲んだ青色、画面が一瞬、黒に落ちて。
「っ――!?」
赤く染まる。鳴り響くサイレン、打ち出された文字は、侵入者に対する拒絶の意。全ての操作を、入力を受け付けず、投入できるだけの兵器を生み出し、解放する……ネクロマンサーに接続された機器、その末端さえもが狂ったように稼働し始め。彼女は、アリスは、知る由も無い。その一連の挙動は、街の中枢、この装置が、不正なアクセスに寄って操作された時……この街、この部屋が敵の手に渡った時に作動する、自決の意味さえ孕んだそれで。
映し出される赤い画面、次々と生産が開始されるアンデッド。開かれた格納庫。一瞬の間、アリスは呆然と。しかし、それも、極度の混乱、錯乱に変わり。
「何、何で、何が……」
映し出される文字を必死に追う。ネクロマンサーと繋がった意思を必死に辿る。辿れば、其処には、一つの鍵。カードキーの挿入を指示する、一行の文字があるばかりで。
「カードキー……何処、誰、誰が……」
物を言わない肉片と化した研究員達に目を向ける。其処にあるのは、細切れの肉と、広がった赤。それらしき物など、影さえなく。
求めるものは、此処には無い。救いの手などは差し伸べられない。だから。
「止まって、止まってよ、何で、何で、お願い、お願いだから」
緑色の輝きは増していく。彼女の自我領域が拡大し、更なる支配を行わんと……伸ばされる手など無いことを知り、自身のその手で、この現状を打開せんと。しかし、それでも。
止まらない、止まらない。只、只、膨れ上がった自我領域は、力を増した異能の力は。外の光景、屍肉の群れが作られ、落とされ、人を喰う。大切な人々を。守りたかった人々を。貪る姿を映すばかりで。
「――ぁ、あああ、ああ……」
そうして
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