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或る短かな後日談
彼女達の結末
幕間 三
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 込み上げる不安を拭えぬまま。自身の思いを誤魔化すように。

 ノズルから降り注ぐ。その湯を浴びた。



 日が経つに連れて夢の内容は鮮明に。観測されるESPもまた、強く。未来の予知が可能であるか否かなど確かめようがないとは言え、ESPとの関連性は確かにあると研究者達は結論付けた。
 
 徐々にはっきりとしていく夢の輪郭。朧だった景色は色鮮やかに残酷に。惨たらしく死んでいく人の顔は、表情は、虫の声は、羽搏きは。全て全てが鮮やかに描き出されて脳に焼き付く。
 暴走したのはアンデッドではない。この街におけるネクロマンシー技術の中核、無数の機器へと命令を送る、アンデッド生産における脳……ネクロマンサーと呼ばれたその装置の暴走。それが夢の内容で。
 空を埋めた昆虫の群れは、既に確認されていた昆虫兵器とその派生。隣国は確かに、それを主力に置いている。ならば。

「……やっぱり、私が見たのは……」

 アリス自身に与えられていた隣国の戦力や戦局、この大戦に関わる情報は、限りなく少ないもの。それは、彼女に行われる実験、その結果を明確にする為。そうして確かに、彼女は。自身の知り得ぬ情報を、その力に寄って得たのであって。
 その時がいつ訪れるのかも知れず。その時が本当に来るのかも知れず。しかし、それが真実なのだと……明確な判断材料、根拠は無くとも、彼女、アリスは確信していて。

「どう、すれば……」

 このまま。このままでは。皆、皆死んでいくのだ。虫に喰われて、燃やされて。生きたまま解体され、食い残しは焼かれて終い。大切な人も、見知った顔も。ゴミのように、ゴミのように。

「……あの子、達も……」

 培養槽に浮かぶ彼女も、兵士の彼女も。一人残さず殺される。
 何か。何か、無いのか。定められた道を変える、運命を覆す。そんな、選択肢は……
 答えを求めるように彷徨わせた視線、その先に有る白い壁は、白い床は。何一つとして答えを示さず。彼女達はきっと、前線へと送られるだろう。そんな中で、アリスは。きっと、今と同じように、白い壁と床に閉ざされ、囲われたまま。

 自分は。アリスは。その時、一体何をしているのか――

「――私は……」

 何を、しているのか。垣間見た未来に、自分の姿は無かった。ならば、何処で。一体何をしていたのか。

「……もしかして、私が見たのは……」

 彼女が見たのは。アリスが見たのは、もしかすると、彼女が存在しない世界なのではないだろうか、と。自分が何もしなかった未来。自分という存在が組み込まれていない、自分が何ら関わらなかった、そんな最後なのではないか。

「……止めないと。そんな終わり方には……絶対にさせない」

 自身に当てがわれた部屋から出る。長く続く廊下に人気は無
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