第42話
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”というものは人が社会を信頼する”根拠”だからだ。もし、犯罪が起こった時にそれを法によって裁くという”正義”が存在しなければ………多くの者は家に閉じこもり、滅多に街に出る事はないだろう。そうなったら社会生活はまともに成り立たなくなってしまう。だが――――このクロスベルでは”正義”の形が曖昧でも何とか成り立ってしまっている。」
「!!」
「……それは………」
「政治の腐敗や、マフィアの問題………それを警察が取り締まらなくても経済的に恵まれているから多くの市民は生活に困らない。結果的に、単純犯罪は少ないが目に見えない悪が蔓延っていく………だが、そんな中でもやはり人は”正義”というものをどこかに求めざるを得ない。どんな形であれ、社会を信頼できる安心感を欲してしまうからだ。―――だからクロスベルではここまで遊撃士の人気が高いのだよ。」
「あ………」
「『民間人の安全を最優先で守る』………確かに”正義の味方”って感じですよね。」
「なるほどねぇ………他の国に比べて、妙に遊撃士が持ち上げられるとは思ったが。」
「………とても納得がいきます。」
「……犯罪者に傷けられる民にとって助けてくれる遊撃士はまさに”正義”そのものと言ってもおかしくないですものね………」
ディーターの説明を聞いたロイド達はそれぞれ納得した様子で頷いた。
「だが、知っての通り、遊撃士協会が行使できる正義はあくまで限定的なものだ。この街の歪みを根本的に解決することは不可能だろう。だからこそ私は―――君達に期待したいのだよ。」
「えっ………!?」
「遊撃士の代わりに悪を倒せってこと〜?」
そしてディーターに見つめられたロイドは驚き、シャマーラは尋ねた。
「はは、そんな単純なことを言うつもりは毛頭ないよ。君達が、君達なりに”正義”を追求している姿………それが目に見える形で市民に示される事が重要だと思うのだ。」
「あ………」
「クロスベルにもまだ”正義”が存在している………そう信じられるきっかけを市民に与えるという事ですね。」
「その通りだ。ふふ、その意味ではあのクロスベルタイムズの記事も非常に有意義だと言えるだろう。まだまだ未熟な警察の若者が時に失敗しながらも”正義”を求めて奮闘する姿………面白がる者もいるだろうが否定的な市民は少ないはずだ。温度差の違いはあっても………皆、君達に期待しているのだよ。」
「……………………………」
ディーターに微笑まれたロイド達はそれぞれ黙って考え込んだ。
「ふふ、どうやら興にのって一席ぶってしまったようだな。―――本題に戻ろう。端末室への立入りを君達に許可する話だったね。」
「あ………はい、そうして頂ければ。」
「どちらに行けば許可が
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