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ばかりで混乱していますでしょう。 ここはデトワーズの王都にございます」
「ほ、本当に王都に? でも僕は確か…」
そうだそうだ、思い出した。
僕はレヴァンテン・マーチン、傭兵だ。
国境近くの砦務めで傭兵の仕事をしていた。
倉庫整理だけの仕事だけど、久々に安定して収入が入る仕事に就けた.。
つい最近の出来事だ。
なんだけど……なぜ僕は王都にいて、こんな所に寝かされていたのだろう?
もし、本当に前に寝かされた場所と同じであるのなら、メイドさんとここで出会うのは二度目という事になる。
「運ばれてきたのですよ」
自分の疑問を察してか、メイドさんが答えを教えてくれた。
観察するようなメイドさんの視線は、困惑している自分の様子を見抜き、言葉を続けた。
「状況を把握していないようなので、私が説明しましょう」
そして出てきたのは…説明ではなく、ざっくりとした答えだった。
「―――あなたは姫陛下に目を付けられました」
……へ?
「え、今、なんて、誰、に……?」
「ですから、エルザ・ミヒャエラ・フォン・デトワーズ姫陛下の御目に留まり、ここまで連れて来られた。 王都に来るまでの間ずっと気絶していたあなた様は目を覚まさなかったため、そのまま医務室へと運ばれた。 それが国境の砦にいるはずのあなた様がここにいるに至った理由です」
思考が追いつかず途切れ途切れの自分の口とは対象的に、メイドさんはハキハキと分かりやすく状況を説明してくれた。
「なんで…」
「なんで、とは私から説明する事ではありません。 これ以上の事は姫陛下より直接申し渡されます」
メイドさんは踵を返し、尻目で自分を視線が向けられた。
あの目は“黙ってついて来い”、と促す目だ。
自分が知る限り、それは幾分か柔らかいものだったが、僕は慌てて転げ落ちるようにしてベッドから降りた。
「……結構。 動けるのでしたら、これより姫陛下の所へお連れします」
「あ、はい…」
展開についていけず、言われるがままにメイドの後ろに付いて行く。
「―――、――」
「きゃわぁ!?」
すると仕切りの向こうでさっき見た顔…もとい仮面がそこにいた。
血の気の引いた色白の仮面の人は、全く気配がなく布の仕切りにピッタリと寄り添うように立っている。
それをかなりの至近距離で見てしまった自分は反射的に飛び上がった。
「サンタ」
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