第四話 新王の即位その十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「私も何時どうなるかわからない」
「大公は頑健ですが」
「それでもですか」
「お身体はですか」
「何時何があるかわからないと」
「そうだ、だからだ」
それ故にというのだ。
「後のことも考えておきたい」
「先の先まで考える」
「王位のことも」
「そちらのこともですね」
「むしろ王位のことはだ」
他の政治のこと以上にというのだ。
「考えていなけばならない」
「そうですね、確かに」
「そのことは事実です」
「では、ですね」
「このことは」
「そうだ、決めておこう」
絶対にというのだ。
「今のうちにな」
「では大公の次はですか」
「マリー様ですか」
「そしてマリア様」
「そのうえで、ですね」
「マイラ様だ。だが」
大公はあらためて言った。
「男子が欲しいな」
「はい、北の国の王子も血縁者ですが」
「それによりあの国との連合王国も可能ですが」
「しかしあの国は我が国以上に旧教が強いです」
「王子は新教ですが」
「そこが難しい、しかも王子はまだ幼少だ」
北の国の王子はというのだ。
「生まれたばかり、どうなるかはな」
「まだわかりませんね」
「どうなられるか」
「無事に成長されればいいですが」
赤子、幼子が昨日元気だったのに急に死んでしまう。よくあることだ。だからこそ側近達も大公に言うのである。
「しかしですね」
「それは神のみぞ知ること」
「王子がどうなられるかは」
「そのことは」
「わからない、しかし北の国も他の周辺諸国もだ」
そうした国々についてもだ、大公は言った。
「一つロートリンゲン家にならうか」
「婚姻政策ですか」
「それにより結びつきを強め」
「そして運がよければですね」
「その国々をですね」
「武力や謀略を使わずにな」
そうしたものを使わずにというのだ。
「手に入れることも出来る」
「そうですね、確かに」
「あの家は婚姻政策で大きくなった家ですね」
「戦いではなく婚姻で」
「では」
「北の国とは縁戚があるしな」
それにというのだ。
「西の半島も王家ともな」
「婚姻を結ぶのですね」
「そして西の島国とも」
「両国ともですか」
「婚姻政策を進めますか」
「王家につながる者達を嫁がせてだ」
そうしてとだ、大公は側近達に目を光らせて言った。
「結びつきを強めていこう」
「少なくともそれで攻められる心配はなくなりますね」
「そうした国々からは」
「王国の工作も弱められます」
「いいことばかりですね」
「では婚姻政策を進めていく」
大公はここで断を下した。
「そうしていく」
「はい、では」
「そうしていきましょう」
「そして北の王国ともですね」
「あの国とは」
「王子を王位継承権に加えることを
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ