第短編話 三
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、ことだろ」
お題:キリト先生の誕生日。まあキリト先生の誕生日に書いた短編ってだけで、内容とは一切関係がありません。キリト先生と正妻様も同じようなやり取りをしているのかもしれませんが、きっとそれは別の世界線で明らかになることでしょう(適当)
『彼女の主張』
私は日本刀です。驚くなかれ、私は日本刀なのです。鍛冶屋でのメンテナンスを終えましたが、ご主人がいないので待ちぼうけをくらったような状況なのです。
時に、とにかくご主人は使い勝手が荒いです。面と向かって話すことが叶うのならば、まず小一時間ほど私という存在のありがたさについて、懇々と説教することになるでしょう。空に向かって放り投げたり、かと思えば鞘にしまったままだったり、明らかに斬れそうにないものを斬ったり……
……ま、まあ。斬れそうにないものを斬ったりするのは、私という日本刀を信用しているからこそ、なので悪くない気分ではありますが。
「リズ?」
そうのこうのと言っている間に、ご主人が帰ってきたようだ。私を造った――いわば、母のようなあの人を探しているようですが、あの人は今ここにはいません……ですが、そんなことより重要なことがありました。
ご主人が、新たな、日本刀を、持っているのです。コレクションのためという大義名分で、ご主人はよく日本刀を買ってきます。どうせ戦闘では私以外を使うことはないので、買ってくる必要など、全くもって微塵にも微粒子レベルですら私には感じられないのですが。
「…………おお」
私が台の上で沸々と怒りを込めていることにも気づかずに、ご主人が新しく手に入れてきた日本刀を鞘から解き放ち、その鈍く輝く刃紋に目を奪われています。確かにご主人がわざわざ入手しただけはあり、職人技を感じさせる刃紋が浮かんではいますが、私とてそう変わりはないはずです! いくら美しい刃紋と言えども、あちらはこの世界に大量流出する量産品であって、オーダーメイド品の私の価値とは雲泥の差があるでしょう。実戦で使うことを一番の目的に制作されたため、私は認めざるを得ないほどには多少なりとも無骨ではありますが、それはそれで味はあると――
「ショウキ、来てるのー……って、ちょっと」
「あー……」
少し、取り乱してしまったようです。買い出しから帰ってきたらしい、母とも呼べるあの人と、ご主人の目と目が合いました。それからあの人の視線はご主人が持っている日本刀に向かい、ご主人はさっとそれを隠しましたが、間に合っていないことは火を見るより明らかです。
「ショウキー? 何回目かしらー? 使わないカタナは買って来ちゃダメだって言ったわよねー?」
「面目ない」
笑顔で詰め寄るあの人に、ご主人は開き直って謝罪しました。これが私以外の日本刀を
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