第短編話 三
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。ありがと。……じゃ、駅まで帰りましょ!」
「はいはい」
そうして俺たちはバスで駅まで戻ると、何でもない会話をしながら電車に乗り、それぞれの最寄り駅に帰って行った。これからのALOのことや、最近での授業のこと、そんな話をしていた後に――
――俺がクラインのバックを持っていないことに気づいたのは、帰宅して家族とともに晩飯を食べて風呂に入り、日課の鍛錬を終わらせ、アミュスフィアを被ってALOにログインしてからだった。
「リズ?」
リズベット武具店にログインした俺に待っていたのは、薄暗い無人の工房だった。そこにリズの姿はなかったが、依頼の品が全て完成しているところを見るに、ログインはしていたらしい。フレンド欄でリズがログインしていることを確認しながら、工房から歩いて店内に続く扉を開くと、同時に店の入口の扉が開き人影が入ってきていた。
「あらショウキ。もう依頼終わっちゃったし、ちょっとタイミング悪いわねー」
「リズ……?」
どうやら依頼を終わらせたはいいが、アイテムが足りなくなったらしく、近くのプレイヤーショップに買い出しに行っていたようだ。そして昼間に会ったときのように荷物を持っていた彼女は、普段と違った雰囲気を醸し出していた。
「フッフッフ。どう?」
いつものエプロンドレスのような格好ではなく、まるでかの血盟騎士団のような騎士らしい格好だったが、その無骨な雰囲気に反してスカートは膨れ上がったドレスだった。女騎士が儀礼の場にいるような、そんな高貴さと可愛らしさを同居させた格好に、俺はどこか既視感を感じずにはいられなかった。
「……あのキャラ」
「そ。あんたが指差してたキャラよね?」
先程まですっかりと忘れていた、クラインから預かっていたゲームのキャラクター。まさかアバターのパーツなどは違うものの、髪の色や形にスタイル、服装はほとんど再現出来ていた。
「意外だけど……ショウキ、女騎士系が好きなの? くっ、殺せ! とか言ってあげた方がいい?」
「黙秘する」
ずいぶんと嬉しそうに話しだすリズに、つられてこちらも笑みを浮かべてしまう。ただし問いかけにはノータイムで答えておくと、面白がってこちらを追求していたリズが、突如としてそっぽを向いていた。こちらの顔を見ないようにしているらしく、俺からは耳まで真っ赤に染まったリズの後ろ姿しか見えることはなく。
「いい機会だから……たまには、け、結構イメチェン、しようと思ったのに。まさか服装ぐらいしか変えるところがないなんて……思って、なかったわよ」
「…………」
「わざわざ、あんたの好みってどんなキャラなのかなー、なんて聞いたのに、アバターを変えるところが何にもないなんて、その――」
「――そういう
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