第短編話 三
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から興味なさげな「あー」という思い出したような声が聞こえてきて、せっかくだからこの話題を続けていく。
「あんた、本当に何かないの?」
「ゲーム、って言えばゲームだけどな……」
あたしが振り下ろすハンマーの音をバックに、彼の困ったような声が返ってきていた。どうやら趣味についても、鞘についても、何やら決めかねているようで。ふと、こんなことを提案してみた。
「じゃあさ、二人で何か始めない? …… あ、現実でよ?」
このALOでやってたら、また『趣味はゲーム』になっちゃうものね――そんなふうに冗談めかして言ってみると、思いの外彼にはウケがよかったらしく、肩がプルプルと震えているのが見て取れる。
「わたっ!?」
彼を愛おしげに見ていてインゴットを蔑ろにした罰か、インゴットではなく金床にハンマーを叩きつけてしまい、破壊不可能オブジェクトを叩いた衝撃が身体にも伝わった。驚いて変な声が出てしまった口を、反射的に抑えたはいいものの。
「インゴットちゃんと見て叩けよ」
「むぅ……」
時すでに遅く。彼からは、やれやれ――といった声色の声が届く。不満げに呟きながらも、今度はしっかりと金床のハンマーを見据えると、八つ当たりを込めた一撃を放つ。元はといえば、このインゴットがなかなか武器にならないから悪いのだ、と。
「……あ、そうそう。二人で出来る趣味って何かしらね」
また忘れるところだった。今度はちゃんとインゴットを叩きながら聞くと、彼から気の抜けた返事が聞こえてきた。
「あー……ドミノ倒し?」
「それはそれで、もうちょっと皆でやりましょうか……」
確かに楽しそうではあるが、それは二人でやる遊びではない気もする。今度、このお店でやってみようかしら、とあたしは思案しておくと。どうやら、カタナ二本のうち一本の鞘を見繕い終わったらしい、彼からこんな提案がなされた。
「リズは何かないか? 言い出しっぺ」
「んー……」
あまりにもインゴットが武器にならないので、発動している鍛冶スキルを変更しながら。彼から問いかけられた質問に、しばしスキルのクールタイムついでに考えておく。
「……ジャグリング?」
「……独創的だな」
何故かパッと頭に浮かんだのは、二人で軽いハンマー型の物を幾つも投げ合って、それを二人で広い合うというスポーツで。自分で言っておいてなんだが、あまり惹かれなかった。
「パ、パッと浮かんだのがそれだったのよ!」
「パッと……パッと……あ、サイクリングなんてどうだ?」
本日何度目になるか分からない金属音とともに、彼からなかなか魅力的な提案がなされていた。サイクリング――と言えば、どこか景色のよいところに、ちょうどいい運動しながら
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