第2話 スカサハの新たなる弟子
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も頭を下げて恐縮している一子を促す為に言った。
その言葉に一子は悟る。
建前の挨拶や態度に付き合うために自分を待っていてくれたのでは無いと。故に――――。
「押忍っ!川神一子ですっ!今日より、宜しくお願いします!」
「気合は及第点か。聞いていると思うが弱音を吐こうものなら――――」
「押忍!その覚悟を決めてやってきました!」
「私は今まで多くの者を鍛えて来たが、それは皆多かれ少なかれ“才能”のある者達だ。しかしお主は“持たぬ者”と見ただけで分かった。それでも良いのか?」
「今更です!才能が無いから武術を極めてはいけないなんて私は認める気は無いし、何より諦めない!諦めきれませんっ!だから無理やりにでも成ってやります!!」
一切目をそらさず堂々と言い切る一子の姿に、それをどの様な意味でかは察せられないが、スカサハは微笑する。
「フフ、決意も及第点か。――――一子よ。私が好むのは勇気ある者だ。ただの戦士ではいけない、ただの蛮勇でもいけない。勇気ある戦士こそ、私の好む可能性溢れる存在だ。勿論それは、才能が有る無いなど関係ない。お主が私の好む存在であるのなら、お主がこの先に弱音一つ吐かずに私の稽古を耐え続けられるなら、責任を以て無理矢理にでも『川神院総代』にしてやろう!」
「お、おおお、押忍ッッ!!・・・・・・・・・あれ?総代・・・?」
自分の目指しているのはあくまでも師範代の筈なのに、総代と言う言葉に戸惑いを覚える。
その一子の反応を当然予測していたのか、スカサハの微笑が禍々しくなる。
「師範代などと中途半端な夢を追わす気など、私には無いからな。到達するなら頂点であろう」
そう言って未だに困惑から抜けきらない一子を、首根っこを掴んで無理矢理道場に連れて行く。
「いや、あの、ちょっ」
「安心しろ。初日はちょっと嬲るしてやる」
「ちょっとおかしく聞こえたんですけどっ!?」
「何だ嬉しいのか?いいだろう。優しく嬲ってやる」
「えぇえええええええぇええええええ!!?」
そうして連れて行かれる一子。
その後、道場の方から女の子の悲鳴を何度も聞いたと、部活から帰宅した士郎はエジソンとシーマから事情を聞くのだった。
−Interlude−
「遅い・・・」
日はすっかり暮れているこの時間。
金曜集会のこの日は何時も通り皆集まっていた。
一子以外は。
キャップですら既にバイトを終えて戻ってきているのに、一子だけが一向に来ないのだ。
あまりの遅さに百代は心配となり、秘密基地たる廃ビルから出た所で仁王立ちの状態で待っていた。
「いくらなんでも遅すぎる、流石に迎えに」
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