第20話『吹き渡る風』
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は部屋の隅に座っていた暁君に声を掛けた。
暁君はゆっくりと立ち上がって俺の所まで歩み寄り、また座った。
「驚いた? 俺が熊と闘ったって話」
「正直、それだけじゃなく色々驚いている。えっと・・・」
暁君は言葉に迷っているようだった。
無理もない。俺が魔術を使えるようになったり、なんか熊と戦う羽目になったり、そして倒してしまったり。俺自身もまだ実感がない。
「とりあえず…お疲れ様。 怪我の具合はどうだ?」
怪我? そういえばあったなそんなの。
俺は左肩を見てみる。するとそこには包帯が巻かれていた。
「実は部長が魔術を使って応急処置してたんだ。完全には治せないから、とりあえず痛み止めだけでも…って」
「部長が?」
俺は驚いた。道理であまり痛まなかった訳だ。
魔術って、治療とかもできるんだな。万能かよ。
…だからこそ、良いことにも悪いことにも使える。あ、何か面白い展開来そうかも?
俺は肩を見つめながら、ボンヤリと思った。
「ったく、魔術が使えなかったら、今頃その怪我だけじゃ済まなかったぞ」
「それは考えたくないかな。結果的に良かったんだからいいんじゃない?」
暁君の言葉に俺はそう返した。
過去をグダグダ言うより、ポジティブに今を生きる方が大切、ってよく言うしね。
「お気楽だな、全く。…俺も早く会得しねぇと」
「ふふふ、一足先で待ってるよ」
「今に吠え面かかせてやるからな」
暁君の決意に満ちた呟きに、俺は笑顔で応える。
彼が魔術を使えるようになったら、その時は勝負するんだ!
「じゃあ安静にな」
「え、暁君も行くの!?」
何で皆毎回居なくなるの!?
居てくれた方が安心できて良いんだけど!
…ってあぁ、そんなこと思ってる間に出ていっちゃったよ…。
・・・暇だし寝るか。
翌日の3日目、特に変わったことも無く、部員は全員家へと帰宅した。
俺も当然帰ったのだが、智乃に怪我がバレないように振る舞うのがとても大変だった。
抱きつかれたら痛いわ、肩叩きするとか言ってくるから全力で拒否するわ・・・とりあえずなんやかんやあったが、その日は何とか乗りきった。
そして更に翌日。今度は学校という関門が立ちはだかった。まぁ制服で隠されているため、大地や莉奈にも怪我に気づかれることはなかった。
ただ、俺の左側を 人が歩く度にビクビクしなきゃいけないのは自分でも悲しくなった。
部長の力で自然治癒能力も一時的に高まっているらしいので、3日もすれば完治するそうだ。
いやはやご迷惑をおかけしました、部長。すいません。
それと、戸部さんにもしっかりと謝った。彼
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