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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第三十三話 貴族って本当に何様なのです!?
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この時間がずっと続けばいいのだが。


* * * * *
 ウェストパーレ男爵夫人邸には、華やかな笑い声が響いていた。ウェストパーレ男爵夫人は所用で不在だったが、アンネローゼの頼みを聞くと「私の家をお使いなさいな。」と気前よく言って、使用人たちを遣わしてくれたのだ。
 だが、そこでくつろいでいる5人が笑っていたのは、そんな理由ではなかった。菓子作りの達人であるはずのアンネローゼが、どうしたことかパイを爆発させて、四散させ、キッチンをパイ生地の海にしてしまったのだ。
 幸い他のお菓子があったから、5人は使用人たちと一緒にキッチンを綺麗にし、その後でそれをネタに「アンネローゼ様」をからかい続けていたのである。

「もう!アレーナったら!いつまでもからかうのはよしてちょうだい。傷つくわ」

 傷ついたアンネローゼの顔がおかしいと、また爆笑である。

「だって、だって!!あ〜〜〜おかしいっ!!!!菓子作りの天才がパ、パイを爆発させるなんて!!!ああ〜〜〜〜駄目駄目!!笑いが・・・・・っ!!!」

 アレーナ・フォン・ランディールがテーブルクロスをつかんで、笑いの発作をこらえている。その隣でイルーナまでもが口に片手を当ててこらえきれずに笑っている。本来姉がからかわれるのを見て怒るラインハルト、そしてキルヒアイスまでもがアンネローゼをからかっている。

「完璧な姉上でも失敗なさることがあるのですね。それも初歩的な失敗を」

 と、ラインハルトがからかえば、キルヒアイスまでも、

「パイが飛び散った時のアンネローゼ様のお顔を見ずに済んで、ほっといたしました」

 と言い出す始末である。キッチンで爆発四散したパイにまみれ、呆然と突っ立っていたアンネローゼを見た瞬間、4人はあっけにとられ、そして一斉に笑い出したのだった。

「ラインハルト、ジークも、いい加減にしなさい。そんなことを言っていると、もうお菓子を作ってあげませんよ」

 そう言いながらも、アンネローゼ自身がこらえきれずにおかしそうに笑うのであるから、どうしようもない。

「聞いたかキルヒアイス。そろそろ姉上のご機嫌を取らないと、もう姉上のパイを食べられないぞ」

 笑いの残る声でラインハルトがキルヒアイスに話しかける。

「ええ、そろそろ潮時ですね」

 思わず「ここはアスターテか!」と突っ込もうとしたイルーナとアレーナが慌てて自制してこらえた。

「それはそうと、3人とも昇進おめでとう。でもラインハルト、イルーナ、あなたたちはまだ30にもなっていないのに准将だなんて、早すぎはしないかしら」

 前半の祝辞ではアンネローゼがけぶるような微笑を浮かべたが、後半は一転して憂い顔になった。

「そうね、アンネローゼ、私たちは早すぎるのかも
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