11話
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けの、それこそ新しいセオリーを生み出すくらいのことをしなければ駄目だと思います」
鬼一には一夏に対して罪悪感を持っていた。先の戦いで傷つけたことではなく、今回の役目を押し付けてしまったことにだ。それに一夏にISに関することを教えると約束した以上、鬼一にはそれを果たす責任と義務がある。そして千冬から頼まれたからだ。
昨夜、鬼一、セシリア、千冬の3人で話した時に今回のことを決めた。
鬼一が辞退しセシリアも辞退した際、必然的に一夏がクラス代表になることが決まったのだが、千冬から2人に対して手助けして欲しいと頭を下げられていたのだ。辞退するなら多少でいいから手を貸してやって欲しいと。お前たちなら一夏に必要なものを少なからず教えてやれると。
千冬の観点からすると生徒とはいえ身内である以上、千冬が教えることはほとんど出来ない。だがクラス代表になる以上、どうしてもある程度の実力は必要になる。クラス代表が惨敗を喫することになれば他のクラスメイトの評価の低下に繋がる。低下してしまえば将来の進路にも繋がる。それは1人の教師として避けなければならない。
そこで鬼一とセシリアの2人に助力を申し入れた。
そんなことを言われたら鬼一もセシリアも断ることはできない。2人で目を合わせて苦笑しながら引き受けたのだった。
―――教師としてやれることはほとんどないが、姉としての我儘で申し訳ないが弟には強くなって欲しい。
そんな感情が見え隠れしていた。
その感情を鬼一もセシリアも理解していた。
そしてそれを否定するつもりもなかった。随分と人間らしいと2人で笑ったくらいだ。
「少なくとも僕はまだ初心者の域を出ません。ですが今回の模擬戦でセシリアさんから戦略面、対策面で評価していただきましたのでお話を受けました。よろしければ一夏さんならではの、一夏さんだけのセオリーを生み出すお手伝いをさせていただきたいと思います」
あくまで2人とも千冬から頼まれたことは喋らない。これは自分の意志で引き受けたのだと。
2人が協力してくれるという話に喜びの表情になる一夏。この2人の強さはよく理解している。そんな2人が自分を思って協力してくれることに感謝の気持ちを抱く。
「あ、ありがとう! 2人が協力してくれれば絶対に強くなれる! いや、絶対に強くなる!」
そこで今まで沈黙を貫いていた箒が机を叩きながら声を上げた。
「生憎だが、一夏の教官は足りている。私が直接頼まれたからな」
私が、の部分を強調しながら立ち上がる箒。殺気立っている剣呑な瞳でセシリアと鬼一を睨んだ。
―――そんな目で見たら相手がビビるだろうが。
そんな感想を持った一夏だったが、鬼一もセシリアも随分と涼しい顔をして視
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