第三十一話 研修先でもその六
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「京都まで阿波野君と一緒なんて」
「これこそがお引き寄せですね」
「絶対にそうじゃないと思うわ」
もっともはっきり言えば思いたいです。折角皆と楽しい時代劇を楽しみに来たのにどうしていつものパターンなのか。それにしても最近阿波野君と顔を合わせない日はないです。
「それはね」
「けれどあらゆることがじゆうようじざいなんですよね」
「そうよ」
それはその通りです。けれど腕を組んで憮然とした顔で答えてあげました。
「それはね」
「じゃあやっぱり僕と先輩ってお引き寄せがあるんですよ」
「だとしたら何でよ」
言葉がふてくされたものになっているのが自分でもわかります。
「阿波野君とだなんて」
「まあまあ。それにしても映画村よ」
「それで?」
「映画の撮影しているかも知れませんよ」
何一つ反省していない顔で言ってきました。
「それかドラマか」
「ドラマねえ」
「そうですよ。最近戦隊ものも結構映画村で撮影していますし」
「それは私も知ってるわ」
その仮面ライダーや戦隊もので。電王に出ておられた白鳥百合子さんがかなり好きだったりします。あれだけ奇麗な人っておぢばでもまあいないです。長池先輩や高井先輩と同じ位かも、なんて思っています。
「あれよね。毎年特別に」
「戦隊はプロデューサーの人が映画村におられたことがありまして」
「そうだったの」
「だからなんですよ。ほら、ここだって」
道を少し行ってまた言ってきました。
「ここだって撮影に使われたし」
「そうね。ここでも」
「このお店は暴れん坊将軍でしたっけ」
丁度め組の場所でした。
「ここに新さんいるかい?って」
「それは時代劇よね」
「そうですね。他にも遠山の金さんで使われたり」
「結構色々な場面で使われているのね」
「長七郎江戸日記じゃここからいつも天守閣が見えて」
「そうそう」
何か話が乗ってきました。
「で、瓦版とか巻かれていたり」
「よく観てるのね」
「時代劇と特撮が好きなんですよ」
これはとてもよくわかる趣味でした。
「どっちも。特に東映の系列のが」
「東映好きなの」
「はい、大好きなんですよ」
屈託のない笑顔で言ってきました。
「実は」
「成程ね。だからね」
「ですから先輩」
その笑顔でまた私に声をかけてきました。
「行きましょう、色々とね」
「それでまずは吉原ってわけね」
「はい」
明るい返事でした。底抜けに。
「それじゃあ行きましょうよ」
「言っても聞かないわよね」
それはもうよくわかっています。わかりたくありませんけれど。
「わかったわよ。それじゃあ」
「まあ吉原っていってもあれですよ」
にこにことしてその吉原の方に足を向けながら私に言ってきました。本当に物凄く嬉しそう
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