暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第一章 WORLD LINK 〜Grand Prologue〜
Air 〜没死、必死、決死〜
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けで、弾きもしない。
まるで攻撃の来たところにうまく腕や足を当てはめていくゲームをしてるようだ。

「どうした蒔風、きつそうだな?そんなに汗かいちまってよ」

「ハッハッハッ・・・出来の悪い砂風呂に使っちまったからな!!!」

「だったら体冷やせやぁ!!」

ガシッ!!

蒔風の脛を脇に挟み込み、「奴」がブン回し始める。
そして蒔風を海のほうに投げ放った。

ドッパン!!!

そんなに浅い入射角でもないにも拘らず、蒔風の体が水面ではねた。



「水」とは恐ろしいものだということを知ってるだろうか?

あれほど滑らかで、スラスラと流る水は、実はとても硬くなることがある。
いや、実際に水か硬く固まるわけではない。
しかしその硬度は銃弾をも砕く時がある。

ハンドガンならば銃弾は容易に水の中に入ってくる。
しかしなん十ミリもの機関銃で水面を撃った場合、銃弾そのものの力によって、砕け散るのだ。

水が、ではなく、銃弾がだ。
突入してくる物の力によって水はそれ相応の牙をむいてくる。

石を浅く投げてはねさせる「水切り」も同じだ。

あれは「低い」角度で投げ、「回転」させるという二つの力があってこそ水の上を撥ねるものだ。
しかし今回蒔風の体は「高い」角度でほぼ「無回転」で投げつけられてそれで跳ね上がったのだ。

その威力が想像できるだろうか。
それによって蒔風の体に残されたダメージが想像できるだろうか。



「ぁ主!!!」

ドッバア!!!

海中から玄武が獣神体で海上に飛び出す。
その口から水流が放たれる。

クァ!!!

「玄武!!!!」

蒔風の眼が見開かれ、くるりと空中で回転して体勢を立て直す。
それだけでもボキゴキとアバラが悲鳴を上げる。

そこに玄武の放った水流が届く。
蒔風がそれの先端に足の裏を合わせ、勢いに乗って飛び出していく!!

途中で水流はなくなり、玄武も剣の状態に戻ってしまう。
それでも蒔風の勢いは止まらず、「奴」に向かって突っ込んでいく。


「おおおおおおおおお!!!!!」

蒔風が腕を「奴」に向かって伸ばし、殴りかかろうと鬼神のような表情をして迫る。

そんな蒔風を「奴」は呆れたように見、体を返す。
スッ、と「奴」が蒔風をかわし、通り過ぎていく蒔風の後頭部に回転蹴りを上から下に真っ直ぐ叩き落とした。


「ご・・・げ・・・」

「沈みなさい。そしてそのまま死ぬのです」

「お・・・断りですのことよ!!!」

蒔風が叩きつけられながら身を回転させ、「奴」に蹴りかまそうとする。
だが「奴」はそんなこと気にも留めず、反対の足でちょうどむき出しになった蒔風の腹を突き破る勢いで踏みつけた。

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